総務省「新地方公会計制度研究会」は、地方自治体の会計制度改革に関する報告書を本日19日に公表した。正式名称は「新地方公会計制度研究会報告書」で、これまで5回にわたる研究会会合で討議された結果をまとめたもの。同研究会のサイトよりダウンロードできる。

 報告書では、「地方分権の進展に伴い、これまで以上に自由でかつ責任ある地域経営が地方公共団体に求められている」と指摘した上で、 新たな公会計制度を整備する導入の目的として、(1)資産・債務管理、(2)費用管理、(3)財務情報のわかりやすい開示、(4)政策評価・予算編成・決算分析との関係付け、(5)地方議会における予算・決算審議での利用、を挙げた。

 その上で新会計制度の基本的な考え方として、財務省の作成基準への準拠、複式簿記の考え方の導入、基準モデルを地方自治体単体と関連団体なども含む連結ベースの 2種類設定、「貸借対照表」「行政コスト計算書」「資金収支計算書」「純資産変動計算書」の4つの表を整備、などの項目を示している。

 また、今後「新たな公会計制度の整備を促進していくには、地方公共団体の取り組み状況を勘案し、整備内容、整備時期に柔軟性を持たせることが必要」 と判断。都道府県と人口3万人以上の都市、取り組みが進んでいる自治体には3年をめどに、人口3万人未満の都市と町村、取り組みが進んでいない自治体には、 今後3年程度を準備期間として、上記4表の整備または4表作成に必要な情報の提示・開示を求めるべき、としている。

 さらに導入に当たっての地方自治体への支援に関しては、必要となるプログラムを含む情報の公開と詳細な説明を総務省に求めているほか、ソフトの提供や説明会の開催などを通じた人材育成策や、小規模地方自治体に導入コストの一部を支援する財政策などを検討すべき、と提言している。

 「新地方公会計制度研究会」は、地方自治体の公会計制度について議論する組織。2005年12月に閣議決定された「行政改革の重要方針」を受けて総務省が設置された。今年4月5日の第1回会合以来、合計5回の会合を開き、地方自治体の会計制度のあり方について討議を重ねた。研究会のメンバーは、座長の跡田直澄慶應大学商学部教授のほか、桜内文城新潟大学経済学部助教授、森田祐司日本公認会計士協会地方公共団体会計専門部会前部会長、和田義博同協会公会計担当常務理事の4人。(本間康裕=コンピュータ・ネットワーク局編集委員)