4月27日に2兆円近く投資したボーダフォンの買収が完了しておよそ1カ月。携帯電話事業に参入したソフトバンクが5月18日、新たな携帯電話事業戦略として、英ボーダフォングループと合弁企業を設立すると発表した。合弁企業の出資比率は50対50で、ともに3900万ユーロ(約55億円)出資する。取締役も両社から4名ずつ出すなど、完全に対等な関係となる。ソフトバンクからは代表の孫正義氏、ボーダフォングループからはCEOのアルン・サリーン氏とヨーロッパCEOのビル・モロー氏(売却時のボーダフォン日本法人社長)が取締役に参加する。

 合弁企業の目的は大きく三つ。(1)携帯電話端末の開発・調達、(2)モバイル・ポータルの基盤ソフトの共同開発、(3)コンテンツの共同調達・配信、である。これらのうち(1)は、先端的な新端末の開発が中心となる。新端末を開発しても、国内市場に限れば市場が小さく、競合他社に比べ収益力で不利になる。このため合弁企業を通じて世界市場を対象とした端末を開発するようにして、数の不利を補うねらいがある。
 (2)のモバイル・ポータルに関しては、ソフトバンクが培ってきたIPネットワーク網のノウハウを各国のボーダフォン・グループに提供することを目的とする。具体的にはポータル・サイト自体や、ポータルを構築するためのミドルウエアを共同開発していくという。
 最後のコンテンツの共同調達・配信については、日本が強いゲーム・コンテンツを世界のボーダフォン・グループに提供するほか、スポーツやドラマなどの動画コンテンツを世界中から集めて充実させる考えである。