総務省は5月17日までに、大手インターネット接続事業者(ISP)ぷららネットワークスが予定していたファイル交換ソフト「Winny」の通信を遮断する措置について、違法性が高いとの判断を下した。

 ぷららは「Winnyが悪用され、まったく関係のない第三者の個人情報が流出している。例えば、警察の捜査資料に含まれる個人情報が流出し、何十年もネットワーク上に存在し続ける。こうした被害者を放置しておけない」として、3月中旬にWinnyの通信を遮断するサービスを発表。5月中の導入に向けて総務省に法律判断を迫っていた。

 具体的には、ぷららがISP網上の通信機器で、パケットのパターンがWinnyと思われる場合に通信を遮断する予定だった。この点が通信の秘密を侵害する恐れがあるとして総務省が検討をしていた。

 総務省は「ぷららの措置は、電気通信事業法で定めた通信の秘密を侵すと考えられる」(総合通信基盤局消費者行政課)と判断した。通信の秘密を侵すとしても、通信や郵便事業などの「正当な業務」とみなされれば違法性はなくなる。しかし、総務省はこの点についても、「正当な業務として認められない」(同)と判断した。

 ぷららは「総務省の判断に従う。ただ通信の秘密を侵害しないような他の方法でWinny問題に対処できるかどうか、引き続き検討していく」(広報)としている。

 通信の秘密は、日本国憲法の第21条に「通信の秘密は、これを侵してはならない」と定められている。生活の自由を保障するため、通信の内容やあて先、差出人をはじめ、そもそも通信をしたかどうかといったことが秘匿されるというもの。総務省は電気通信事業法、有線電気通信法や電波法で、「通信の秘密」について罰則を定めている。