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 NSW(日本システムウエア)は5月17日、2006年3月期の決算を発表した。連結の売上高は前年同期比0.5%減の308億200万円、営業利益が同32.7%増の7億3900万円、経常利益が同27.2%増の7億2400万円だった。元社員(懲戒解雇)による不正取引で4億2800万円の特別損失を計上したため、当期純損益は1億5100万円の赤字に転落した。2005年3月期の当期純利益は、3億1700万円だった。

 売上高の内訳は、ソフトウエア開発が前年同期比1.2%減の130億700万円、デバイス開発が同3.1%減の75億5800万円、情報処理サービスが同28.2%増の71億9100万円、システム機器販売が同30.4%減の30億4400万円だった。売上高のうち、RFID(無線ICタグ)などの新規事業は9億4000万円で、当初計画の16億円を大きく下回った。RFIDは好調だったが、ストリーミングやLSIターンキー事業が計画していた売り上げを達成できなかった。

 2007年3月期の連結業績は、売上高332億円、経常利益9億5000万円、当期純利益5億7000万円となる見通し。アウトソーシングサービス強化のために、データセンターの増床や金融業界向けの専門組織の独立などの施策に着手する。

 2005年度の業績に影を落とした不正取引について、これまでの調査によると、元社員は2005年度中の通常取引の中で、売上や仕入の帳票類を偽造して架空の機器販売取引を混在させる手口を繰り返し、機器や仕入支払い資金を36件で計4億2800万円を詐取。売上高に3億5300万円、売上総利益に5300万円の影響を与えた。元社員は現在行方が分からなくなっており、直接事情を聞くことができない状況だという。NSWは今後、元社員に対する損害賠償の提訴を検討している。

 中島秀昌社長は「多大なるご心配とご迷惑をおかけしたことを、改めて深くお詫び申し上げます」と陳謝した。その上で、中島社長は「このような行為を未然に防げなかったことは指揮管理上の問題。二度と起きないように、コンプライアンスを再徹底し、内部けん制や内部監査を強化する」と、再発防止を誓った。