SAPでシニア・マーケティング・マネジャを務めるトーマス・グラッシ氏
SAPでシニア・マーケティング・マネジャを務めるトーマス・グラッシ氏
[画像のクリックで拡大表示]

 「マイクロソフトOfficeは、世界でもっともオフィス・ワーカーに利用されているソフト。新たな教育をせずに、すぐに利用できる。この利点を生かし、エンドユーザーの生産性を向上するのがDuetの狙いだ」。独SAPでシニア・マーケティング・マネジャを務めるトーマス・グラッシ氏(写真)は、SAP SAPPHIRE 06 Orlandoの講演で新製品「Duet」をデモを交えて説明。日本語版を今年9月末に提供することも明らかにした。

 Duetは、「Mendocino」という開発コード名で呼ばれていた製品。その実態は、マイクロソフトのExcelやOutlookといったOfficeのソフトからSAPのアプリケーションを利用可能にするサーバー・ソフトである。当初は、SAPのERPパッケージ(統合業務パッケージ)の「mySAP ERP」とOfficeとの間でデータを交換できる機能を提供する。米国では6月末に一般出荷を始める。

 Duetは単純にSAP製品とOfficeをつなぐだけでなく、「予算管理」や「組織管理」といった業務に必要なテンプレート(シナリオと呼ぶ)を提供する。例えば、予算管理に含まれるシナリオを使うと、「mySAP ERPで管理している管理会計の情報を基に、予算を割り込みそうな案件のアラートをOutlookに送信する」、組織管理のシナリオを利用すると「Outlookにプロジェクトの会議予定を書き込むと、mySAP ERPで管理している人件費データが自動的に更新される」といったことが可能になるという。

 当初提供するシナリオは、予算管理、組織管理、休暇管理、時間管理の4種類。製品の価格は明らかにしていないが、シナリオ別に価格が設定されるとみられる。

 グラッシ氏は、Duetの今後の強化予定も明らかにした。今年第3四半期の終わり、すなわち今年9月末には、「採用管理」や「出張管理」などのシナリオを追加したValue Pack1を提供する。Value Pack1は日本語をはじめ複数言語が利用できるようにするほか、最新版のERPパッケージ「mySAP ERP2005」に対応させる。日本では、このValue Pack1が提供されるタイミングで、Duetの出荷を始める計画だ。

 続いて、今年第4四半期の終わり、すなわち今年末にValue Pack2を提供する。Value Pack2では、CRM(顧客関係管理)ソフト「mySAP CRM」を利用した「顧客管理」「営業支援」などのシナリオを提供する見込み。購買管理ソフト「mySAP SRM」を利用したシナリオも発表する予定だ。このほか「Office 2007」をクライアントで利用可能にする。