富士通は5月17日、いわゆる日本版SOX法対応や業務プロセス改革を支援するサービス/製品を「内部統制強化支援ソリューション」として体系化して、提供を開始した。平田宏通常務プロフェッショナルサポートビジネスグループ長は、「この市場は2006年度から徐々に立ち上がり、2007年度が勝負になる。市場規模が6000億円と言われているが、そのうちの10%は取りたい」と語る。

 提供に際して、富士通は内部統制にかかわるコンサルティングサービスやハード/ソフト、アウトソーシングサービスなどを体系化した。平田常務は「日本版SOX法対応としての財務報告の信頼性向上だけでなく、業務の見える化やプロセス改善を実現するためのノウハウを提供する」という。

 コンサルティングでは、米SOX法に対応した日本企業を支援した実績や社内実践などに培ったノウハウを基に、文書化支援、有効性評価支援、不備改善・統制強化支援といったサービスを実施する。同社は昨年から、財務報告の信頼性や業務の有効性を確保するための社内プロジェクト「PROJECT EAGLE」を開始している。

 さらにコンサルティングサービスを開始するに当たって、米SOX法対応で実績を持つカナダのリスクコンサルタント会社のGIMを今年2月に買収した。富士通の小村元コンサルティング事業本部プリンシパルコンサルタントは、「GIMは、米SOX法対応の経験を蓄積した方法論やテンプレートを持っている。これらのノウハウも活用する」という。

 製品面では、業務フロー図やRCM(リスク・コントロール・マトリクス)の作成などを支援するソフト「Valuevision」、文書管理ソフトの「PRODocumal」、プロジェクト管理ソフト「ePROCESS」といった製品を内部統制向けに機能を強化して提供。製品同士を連携する機能などを順次、追加していく。

 7月からは、ユーザー企業向けの教育・研修サービスをeラーニングや集合研修方式で提供する。料金は1人当たり5万円からである。8月には、教育・研修のための施設「内部統制研修センター(仮称)」を開設する。このセンターは社員やパートナーの教育にも活用される予定だ。

 コンサルティングサービスの料金は300万円から。小村プリンシパルコンサルタントは、「百数十社から相談を受けており、そのうち十数社に関してはコンサルティングサービスを提供している」とする。なかには、米SOX法に基づいた対応を支援して、既に一通りの取り組みが完了したユーザー企業もあるという。