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 米Apple Computerのvice president of Developer RelationsであるRon Okamoto氏が本誌記者のインタビューに応じ,Macintosh(Mac)のIntelプラットフォームへの移行や,Boot Camp(MacでWindowsを動作させる機構)公開の狙い,8月に開催予定の開発者会議について語った。発言の要旨は以下の通り。

--Intelプラットフォームへの移行は順調に進んでいるか。

 私たちは,2006年内にすべてのMacをIntelプラットフォームに移行させると発表している。今は,半分以上の製品が移行したところだ。Intelプラットフォームへの移行において,開発者が果たす役割はとても大きい。多くの開発者がIntelプラットフォーム上でネイティブに動作する「Universal Applications」を作ってくれている。今ではUniversal Applicationsの数は1700を超えている。大手ソフトウエア・メーカーもUniversal Applicationsへの移行を進めている。

--Mac OS Xはユーザー数を伸ばしているようだが,Mac OS Xで動作するアプリケーションは増えているのか。

 Macアプリケーションに参入するメーカーがどんどん増えている。例えば,2006年のMacworld Expoでは,Marwareという会社が作った「Project X」というプロジェクト管理のアプリケーションがBest of Showに選ばれた。MarwareはそれまでiPodのアクセサリなどを手がけていた会社で,Macのアプリケーションを作るのは初めてだった。

 Windowsアプリケーションしか作っていなかった会社がMacのアプリケーションに参入する例も増えている。例えば,ある会社の担当者はApple Storeに集まってくるMacユーザーを見て,自分たちのアプリケーションがMacユーザーにもぴったり合うはずだと感じたそうだ。そこで,彼らはMacアプリケーションに参入することを決め,数カ月で製品を作り上げてMacworld Expoに出展した。

 Macのデベロッパ・コミュニティはどんどん成長している。私たちが提供している開発者向けサービスである「Apple Developer Connection」には,現在50万人以上の開発者が登録しており,登録者はどんどん増えている。新しくMacで開発を始める人たちにはいろいろな人がいる。例えば,Windowsアプリケーションの開発から移行してきた人や,UNIXコミュニティからやってきた人,オープンソース・コミュニティからやってきた人などがいる。

--Boot Campにはどんなことを期待しているか。

 IntelプラットフォームのMacでWindows XPを利用可能にするBoot Campは,間違いなくMacユーザーを増やしてくれると考えている。Windowsでしか動作しないアプリケーションをMacのハードウエアで動せるようになることで,Boot Campを一種の保険と考えてMacを購入してくれる人が増えてくれるはずだ。

 しかし,MacユーザーはMacでネイティブに動作するアプリケーションを求めていることも確かだと思う。開発者には,ぜひともMacネイティブのアプリケーションを作るようにお願いしたい。

 先週のE3(Electronic Entertainment Expo)では,たくさんのゲーム開発者と話す機会を持てた。彼らも,Macユーザーがネイティブ・アプリケーションを求めているということは十分に理解していた。Boot Campについても私と同じようにMacユーザーを増やす一つの機会ととらえていた。Macユーザーが増えることによって,Macネイティブのアプリケーションを作るメーカーに新たなチャンスが生まれる。

--最近,Mac OS Xを使っているプログラマが増えているように思う。特に,PythonやPerlなどのスクリプト言語を使っているプログラマがMac OS Xを使う例が増えているようだ。彼らはどんなところを評価してMac OS Xを使っていると思うか。

 Mac OS Xの中核部がUNIXであるというところが大きいと思う。UNIXでできることはすべてMac OS Xでもできる。それから,私たちは開発者が必要とするツールをすべてMac OS Xに添付するようにしている。例えば,最近は科学技術計算をする人たちがアプリケーション開発にMac OS Xを使う例が多くなっているそうだ。彼らもUNIXとの互換性を評価している。UNIXプログラムが動くうえ,WebブラウザやPhotoshop,ゲーム,iTunes,メール・クライアントなども動くという点は開発者にとって魅力的だと思う。

 これまで説明してきたように,Macにはいろいろなバックグラウンドを持った開発者が参入してきている。彼らの要望に応えるため,8月7~11日に米San Franciscoで開催予定のWorldwide Developers Conference(WWDC)では数多くのセッションを企画している。現在WWDCのWebサイトには84のセッションと16のハンズオン・ラボ(Appleのエンジニアに一対一で相談できるコーナー)の情報を掲載している。最終的には130以上のセッションを設ける予定だ。

--Appleは昨年のWWDCでIntelプラットフォームへの移行を発表した。今年のWWDCの最大の話題は何か。

 Mac OS X 10.5(Leopard)だ。WWDCではLeopardを実際にお見せできるだろう。開発者はLeopard上でのアプリケーション開発の準備ができるはずだ。Intelプラットフォームへの移行も大きな話題だ。先にも述べたように,Intelプラットフォームへの移行は順調に進んでいる。今年のWWDCでは,移行を援助するための最新情報を提供できるだろう。

--Leopardにはどんな機能が入るのか。

 申し訳ないが今は言えない。ぜひともWWDCに出席してその目で確かめてほしい。