急ピッチで出店する生鮮コンビニ「SHOP99」
急ピッチで出店する生鮮コンビニ「SHOP99」
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 食品や日用雑貨を99円均一で販売している生鮮コンビニ「SHOP99」を運営する九九プラスは2007年秋までに、本部と店舗のシステムを全面刷新する。受発注などの基幹システムやPOS(販売時点情報管理)システム、発注端末などをすべて入れ替える。

 新システムのうち、商品の売れ筋や死に筋などを分析するシステムだけは先行して今秋に稼働させる。これまで1件当たり4~5時間はかかっていた分析時間を大幅に短縮する。次いで来年5月には店舗のPOSシステムを新型機に切り替える。最後に、基幹システムを来年10月に刷新して完了する。

 九九プラスは2010年までに、現在800店ある店舗網を3000店まで拡大する急ピッチな出店計画を立てている。現在利用している第3次システムは1200店まで増やすことを前提に2003年1月に稼働させたもので、3000店体制には耐えられない。そこで来年中に3000店でも利用できる新しい第4次システムに移行することで、早めに3000店体制の布石を打つ。

 第4次システムのソフト開発にかかる費用は30億円。このほかに3000店分のPOSシステムや発注端末の費用がかかる。POSシステムの導入費は第3次システムで1店舗当たり250万~300万円。「この費用を維持しながら、新端末を調達する」(塚田泰之・管理本部情報システム部部長代理)。システム開発はNECソフト(東京・江東区)に依頼しており、昨夏から両社で要件定義に入っている。

出店速度に追いつける仕組み

 3000店体制に向けての課題は、急速な出店戦略に店長に登用できる人材の確保が追いつかなくなっていることだ。そこで同社はパートタイマーを店長に据える「母店サテライト」と呼ぶ新しい出店形態を採用。それに合わせて、人材の活用方法や第4次システムに盛り込む新機能を決めている。

 母店サテライトでは、母店にいる社員の店長が新システムを使って複数のサテライト店舗を同時に経営管理したり、発注をこなす。一方、サテライト店にいるパートタイマーの店長は業務範囲を限定し、なるべく接客に専念してもらう。今年4月から40店で実験中だ。

 九九プラスは1999年の創業当初、FC(フランチャイズチェーン)展開による店舗拡大を想定していた。ところが数年後、異業種が生鮮コンビニ業界に参入してくるなど経営環境が激変。九九プラスはどこよりも早く生鮮コンビニ市場を押さえる必要性に迫られた。そこで2004年には、自社の判断だけで出店を決められる直営店主体の出店戦略に方針を転換。2004年以降は店舗数が急増した。

 ここにきて出店ペースは少し落ちたが、2010年に3000店まで増やす計画は変わっていない。現在約1300人いる社員を増やしていっても3000店分の店長を確保するのは容易ではないため、パートの戦力化と母店にいる社員の店長のシステム支援を進めていく。