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 「米国では数百もの企業が、内部統制の欠陥が改善できず、SOX404条で求められる内部統制の有効性を証明できなかった。欠陥があった場合には、問題点や欠点を詳細に報告する必要があるが、自発的に欠陥を公表した企業が法的に処罰を受けたケースはない」。こう語るのは、米アクセスインターナショナル法律事務所の創業者兼代表のデビット・ホッピ氏 (写真)である。

 米国SOX法では、内部統制の整備・運用状況を評価した内部統制報告書を提出しなかったり、虚偽の報告を行った場合には、企業や経営陣に罰金や懲役といった処罰が課されることがある。実際に米国では、内部統制に欠陥自体は処罰の対象にはならないが、「欠陥を自主的に報告しなかった企業は処罰を受けた」(ホッピ氏)。事実上の日本版SOX法案と言える金融商品取引法案にも、同様の趣旨の条文が盛り込まれている。

 ただし、社会的な制裁は別である。「欠陥を公表した企業は、株価がだいたい5~10%下がった。下落幅は企業によって差はあるが、なかには30%も下がった企業があった」(ホッピ氏 )と語る。社債の格付けにも影響が出る可能性が高い。さらに、「米証券取引委員会(SEC)では、内部統制に欠陥があった企業に対しての罰則を作る動きもある」という。

 米国では、大企業でSOX法対策に平均5億円かかったという調査もある。そのため、米国では多大なコストや手間を嫌い、上場廃止をする企業が増えている。ホッピ氏も「2003年で198社、2004年には134社が上場を廃止した。これはSOX法施行以前の2~3倍である」と指摘する。日本版SOX法でもSOX法の問題点が改められなければ、施行を機に上場廃止企業が相次ぐかもしれない。