中古トラック一覧画面。ページ全体をリロードすることなく価格順、積載量順などに並べ替えられる
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トラックの全体図をクリックすると、その部分の写真が表示される
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 ヤマト運輸グループのヤマトリース(東京・豊島)は2006年4月に、中古トラックの物件紹介サイトを開設した。Webブラウザ上で表現力豊かな画面表示やデータ処理を実現する「Ajax(Asynchronous JavaScript + XML)」技術を採用し、使い勝手を良くしつつ、コストを抑えた。Ajax専門のソフトウエア会社であるHOWS(東京・台東)のAjaxコンポーネント(部品)を採用した。

 ヤマトリースは、ヤマト運輸の協力会社である運送業者約700社や、ヤマト運輸の宅急便取扱店に対して、トラックなど商用車をリースしている。トラックには一般乗用車のような中古車市場がない。そのため同社は、運送業者の廃業などで不要になったトラックが発生した時に、安い価格でしか売却できないという問題を抱えていた。

 新サイトでは、不要トラックの価格や積載量、走行距離などの情報を運送業者に提供。新しいトラックを必要とする運送業者は、新車より安価なトラックを入手できる。ヤマトリースにとっても、トラックの売却損を抑えられるうえ、不要トラックが新たなリース契約につながるメリットがある。

データベース管理システム使わずコスト抑制

 新サイトではAjaxを駆使し、中古トラックを価格順や積載量順に並べ替える処理をスムーズにできるようにした。さらに、トラックの全体図をクリックすると、その部分が徐々に拡大する形で写真が出るなど、プラグインが必要な「Flash」に近い視覚効果を、Webブラウザのみで実現している。

 トラック取引の目標は年間100台だが、「既に目標を上回るペースで成約している」(ヤマトリースの小佐野豪績社長)。取引規模がさほど大きくないため、Ajaxを使うことでシステム投資額を800万円前後に抑えた。

 Ajaxには、Webブラウザとサーバーの間でXML形式のデータをやり取りすることで、Oracleなどのデータベース管理システムを導入しなくても高度なデータ管理ができるという特徴がある。「投資額は、データベース管理システムを使った本格的なシステムを構築した場合の5分の1程度。30台程度の売買が成立すれば簡単に元が取れる」(小佐野社長)という。

 Ajaxは、検索サイト大手の米Googleが「Google マップ」で採用するなど、個人向けWebサイトの表現力を高める技術として注目を集めている。今後は、安価に簡易Webシステムを作れる技術として、企業情報システムでの採用も広がりそうだ。