NECは5月15日,同社のSIP(session initiation protocol)サーバー「UNIVERGE SV7000」とマイクロソフトのプレゼンス・サーバー「Microsoft Office Live Communications Server 2005」(LCS)をつなぐミドルウエア製品「UNIVERGE OW1000」(OW1000)を開発,出荷を始めた。また,出荷に合わせて,マイクロソフトとオフィス・コミュニケーション市場で戦略的提携を結んだ。

 OW1000を提供する目的は,Outlook 2003をはじめとするOfficeアプリケーションとIP電話の連携機能を強化すること。例えばOutlookでメールを受信した際に,そのメールサブジェクト(題名)をワンクリックするだけで送信者にすぐに電話をかけられるようになる。SIPサーバーとLCSの連携は,フランスのアルカテル,米アバイア,米シスコシステムズといった海外メーカーが開発を進めているが,国内メーカーではNECが初めて。

 マイクロソフトのLCSはプレゼンスを中核に,電話やメール,メッセンジャーなど企業内のコミュニケーション手段を提供する製品。ただ,LCS単体では,IP電話は利用できない。SV7000と連携させることで,LCSのクライアント・ソフト「Office Communicator 2005」のほか,Outlook 2003やWord 2003といった「Office製品」からのIP電話発着信が可能になる。

 LCSとSV7000はどちらもSIPサーバーだが,SV7000がUDPベース,LCSがTCPベースというように,SIPの仕様や実装形態が微妙に異なる。こうした方言や実装方法の違いをOW1000で吸収し,LCSとSV7000を連携させる。OW1000はWindowsプラットフォームで稼働するソフトウエア製品で,価格は50万円(税抜き)から。

 NECは,デスクトップ・アプリケーション市場で最も普及しているOfficeアプリケーションと連携できる国内唯一の内線電話システムとして売り出す。一方,マイクロソフトは,SIPサーバーでトップシェアを誇るNECと組むことで,国内のオフィス・コミュニケーションの分野への本格進出を狙う。