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 パケッティア ジャパン インクは、WANを介しても快適にファイル共有できるようにする通信装置「Tacit」を、早ければ今年6月にも出荷する。メッセージのやり取りが多いためにWANでは遅延が発生してしまうWindowsのファイル共有プロトコル(CIFS)を、独自のプロトコルに変換して高速化する。WANを介して通信する両拠点に、それぞれTacitを設置して利用する。

 このような技術はWAFS(ワイドエリア・ファイル・サービス)と呼ばれており、拠点に分散するファイル・サーバーを一元化し、WAN経由で地方拠点とファイル共有しようとする企業に向くという。「CIFSはLANで利用することを想定しているプロトコルであるため、WANで利用すると遅延が頻発する」と、米パケッティアのアートロ・カザレス バイス・プレジデントは指摘する(写真)。

 Tacitの特徴は三つある。一つは、「SC/IP」と呼ばれる独自のプロトコルを利用する点。頻繁にメッセージのやり取りをするCIFSを変換し、まとめてメッセージを交換することで遅延の影響を小さくする。またC/IPはデータを圧縮したり、差分データだけを送ったりする機能も備える。

 二つ目は、運用管理のしやすさ。Windowsをベースに開発された製品であるため、Windowsドメインに組み込んで管理することができる。ドメインコントローラとしても動作するほか、キャッシュ・サーバー機能、DNSサーバー機能、DHCPサーバー機能、プリント・サーバー機能なども備える。

 三つ目の特徴は、リモート・アクセスに対応していること。Tacitは大きく3種類の製品がある。(1)中大規模拠点向けの「Tacit」、(2)数人程度の小拠点向けの「Tacit mini」、そしてノート・パソコンにインストールして利用するソフトウエア製品「Mobility」だ。Mobilityを使うと、外出先からでもファイル・サーバーを快適に利用できる。

 Tacitは、米パケッティアが5月に買収した米タシット・ネットワークスの製品。価格は、Tacitの100Mバイトまでキャッシュできるタイプが150万円。Tacit miniとMobilityは未定だが、Mobitlityは1万円前後になる予定である。