システム刷新を率いたCIOの小谷次彦常務取締役(左)と、大谷俊二BSC統括部長(右)
システム刷新を率いたCIOの小谷次彦常務取締役(左)と、大谷俊二BSC統括部長(右)
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 三井住友銀リースは4月、基幹システム「SCRUM(スクラム)」の刷新を完了させた。投資額は65億円。2004年3月に営業支援システムを皮切りに、会計など主なシステムを2年かけて刷新してきた。狙いは、諸事務をペーパーレス化し、事務業務の効率化を図ることにある。

 さらに、システム刷新の完了と同時に、事務作業を集中して行う「ビジネスサポートセンター」を東日本と西日本にそれぞれ設置し、これまで各支店にいた事務員を2カ所に集約した。今後、業務スピードを2割向上させることを目指す。

 支店の事務員は、営業担当者が受注を獲得した後の契約書作成や請求などが主な業務。従来、同社の事務作業は、各事務員のスキルに頼り、暗黙知となっていることが多かった。「請求書を出す時期など、長い付き合いのなかで取引先を理解し、対応していた」(大谷俊二BSC統括部長)という。そのため事務員の異動や退職などで引き継ぎがうまくいかず、サービスレベルを一定にしづらかった。また、法改正などが契約期間中にあった際に、迅速に対応できないこともあったという。

 集約した効果を引き出すために、大谷統括部長らは事務作業の標準化に取り組んだ。取引先約1万社に関する事務作業を、事務員から1カ月かけてヒアリングして洗い出した。これらを基に、業種や商品別にパターン化した。これにより、案件の進ちょくをSCRUMで管理し、いつまでに何をすべきかを事務員に知らせられるようにした。

 また、繁忙期が商品別に異なるため、業務を標準化することでほかの担当が応援できるなど効率的な人材配置が可能となるとみている。異動や退職などがあってもサービスレベルを維持できる。CIO(最高情報責任者)を務める事務総括部長の小谷次彦常務取締役は、「BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)により、業務効率を向上させて案件を増やすことにつなげていきたい」と意気込む。