小野寺章氏
小野寺章氏
[画像のクリックで拡大表示]

 SIerとしてオープンソース・ソフトウェア(OSS)に積極的に取り組んでいるテンアートニ。LinuxおよびWindows上で稼働するHA(高可用性)クラスタリング・ソフト「LifeKeeper」を提供する同社のプロダクト&SIビジネスユニット エンタープライズソリューション部部長・小野寺章氏に、OSSとHA化技術、仮想化技術について聞いた。

――テンアートニはOSSにどのように取り組んでいるのでしょうか?

 当社は1997年の設立時から「JavaとLinux」を掲げてやってきました。設立日もJavaがデビューした日に合わせましたし。OSSは、JavaとLinuxという世界をもう少し広げて、その中の1つとしてあると捉えています。2006年1月にはOSSサポートセンターを社内に設立しました。もちろん、それまでも社内の各部署でOSSを取り扱ってきたわけですが、横断的組織としてセンターを設立して対外的にもOSSに取り組んでいることを鮮明に打ち出すようにしました。

――OSSの普及状況をどのように捉えていますか。

 2年くらい前ですと、力を持った技術者だけが使っていましたが、今では背伸びをしなくても使える状況になってきたと思います。今はオープンソースのデータベースも普通に業務システムで使うようになっています。その分、ベンダーに対する顧客の依存度が高くなってきたとも感じています。

 例えば、OSSを使うには情報収集が欠かせません。情報はネット上にたくさんありますが、そこから本当に必要な情報を見つけ出して活用しなくてはなりません。それには一種の技術力が必要になります。そうした技術力を持たない顧客に対して、OSSのメリット/デメリットを含め適切な情報を提供し適材適所のOSS活用を支援していければと思っています。

――OSSの企業での利用については。

 3年前くらいから、エンタープライズでプロプライエタリ(メーカー固有)のUNIXと同じようにLinuxが使われるようになっています。MySQLやPostgreSQLといったOSSのデータベースも普通に使われるようになっています。今では、ホスト系で培われた技術がLinuxでも使えるようになりつつある状況です。

――OSSを企業で使うメリットはなんでしょうか。

 やはりなんといっても、その費用ですね。商用ソフトと同じようなことがOSSでもできるようになりつつあるわけです。

――そうした流れの中で、Linuxを用いた仮想化やHA化もあるわけですね。

 サーバーの仮想化とHA化は別物です。サーバー仮想化によってHA化を図ることができますが、それだけではありません。物理的に1台のマシンで複数種類のOSの仮想サーバーを動かすといった使い方もありますが、これはHA化ではありませんね。

 また、具体的な仮想化技術としては、IBMのLPAR(論理分割)、VMware、Microsoft Virtual ServerそしてOSSのXenがあります。一方、HA化ソリューションとしては当社が販売する「LifeKeeper」などがあります。LifekeeperはOSSをいかした商品です。

――「Open Source Revolution!では、小野寺さんに講演していただくわけですが、そこでの中心的なメッセージは何になるのでしょうか。

 サーバーの仮想化の構成には、そのほかにも、複数台のサーバーに対して1台のサーバーでバックアップする、複数サーバーで複数種類のOSの仮想サーバーを互いにバックアップしあうなど、さまざまな形態があります。私の講演では、これらのバリエーションを示すとともに、どのような場合にどのような構成が向いているのか、サーバー仮想化の適材適所を説明します。その中から、ご自身のシステムに適した構成を見つけていただき、仮想化が身近に活用できることを実感いただければと思います。