写真 的井保夫・取締役執行役員専務(右)
写真 的井保夫・取締役執行役員専務(右)
[画像のクリックで拡大表示]

 NECは5月11日,2005年度(2005年4月~2006年3月)の連結決算を発表した。売上高は対前年度比0.5%増の4兆8249億円。しかし,携帯電話端末や半導体の売り上げ減が響き,営業利益は同32.7%減の954億円。純利益は84.3%減の121億円となった。

 2006年度の業績予想については,売上高が前年度比2%増の4兆9000億円,営業利益が346億円増の1300億円,純利益が379億円増の500億円とした。これを実現するため,2006年度は成長事業を強化していく。NECはその柱として,(1)次世代ネットワーク「NGN」本格化への開発強化,(2)同社のネットワーク製品ソリューション「UNIVERGE」の強化,(3)SI/サービスの収益性の向上の三つを挙げる。同時に携帯電話端末や半導体,パソコン事業の収益改善も図る。

 NECでは4月,ネットワーク事業に長く携わってきた矢野薫副社長が社長に就任し,NGNに力を入れていくと宣言した。NGNについては既に研究開発を進めており,その成果となるNGN向けの製品として,今年3月には伝送装置,5月には通信制御システムの新製品を投入。こうした状況を受け,的井保夫・取締役執行役員専務(写真)は2005年度の業績について,「成長軌道への復帰に向け,NGN戦略への足場固めができた」と述べた。さらに同社は,ネットワーク・ソリューション事業の研究開発費には,前年度より約120億円多い1450億円を投入する。ただし,「NGNで何をするのか」といった質問が及ぶと,答えに窮する場面も見られた。

 なお,NECは子会社のNECエンジニアリングによる架空取引の発覚などに伴い,米国会計基準に基づき2002年度~2004年度の連結財務諸表を修正した。2004年度の連結財務諸表は現在,会計監査人によって監査中だが,前年度の業績との比較は修正後の数値を基にしている。