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 NTTドコモは2006年5月11日、W-CDMAの高速データ通信規格「HSDPA(wideband-CDMA with high speed downlink packet access)」に準拠したPCカード「FOMA M2501 HIGH-SPEED」を発表した。2006年夏に予定しているHSDPAの商用サービス開始(関連記事)に合わせて発売する。具体的な発売日や価格は明らかにしていない。開発は米モトローラ社である(発表資料)。

 通信規格としてはHSDPAのほか、800MHz帯/2GHz帯のW-CDMA、および欧州やアジアなどで使われている900MHz帯/1.8GHz帯/1.9GHz帯のGSM/GPRSに対応する。NTTドコモとローミング契約を結んでいる海外の通信事業者のサービス圏内であれば、W-CDMAまたはGSM/GPRSでデータ通信が可能。

 PCMCIA Type II規格に準拠する。奥行きが13cmあり、通信用のアンテナ部がおおむね4cmほど外に出っ張る形となる。デバイスドライバーに加え、付属のユーティリティソフトウエアをパソコンにインストールすると、同製品を挿したパソコンで音声通話やテレビ電話が可能。対応OSはWindows 2000/XP。

 HSDPAの規格上の最高速度は下り14.4Mビット/秒だが、NTTドコモの商用サービスでは最高下り3.6Mビット/秒、同上り384kビット/秒に制限している。実効速度については「実際の利用状況により大きく異なるため一概には言えないが、おおむね1Mビット/秒程度の速度が出ると期待していただいて構わないだろう」(NTTドコモ マルチメディアサービス部 サービス企画担当部長 前田義晃氏)とした。

 価格体系は現行のFOMAのパケット通信料と同じとし、料金プランとパケット量に応じた従量制とする。携帯電話向けのインターネット接続サービス「iモード」では、オプションで月額パケット通信料に上限を設けるサービスを用意しているが、パソコンを利用したデータ通信には適用されない。

 パソコンからのデータ通信に関しては、同社は既にIEEE802.11a/b/g規格による公衆無線LANサービス「Mzone」を提供している。Mzoneでは月額1500円の定額制の料金プランを用意しているほか、国内外の無線LANサービス事業者とのローミングも展開している。HSDPAと公衆無線LANサービスとのすみ分けについて前田氏は、「当社としては、パソコンを用いたデータ通信においても携帯電話網を主軸としてサービスを展開していきたい。無線LANはそれを補完する通信手段として、オフィスや公衆無線LANのアクセスポイントなどで利用してもらいたい。無線LANによるIP電話機能を組み込んだ携帯電話機『FOMA N900iL』などと同様に、2種類の通信規格を並行して活用することは可能と考えている」とした。

 同社ではこのほか、HSDPAに対応した携帯電話機「FOMA N902iX HIGH-SPEED」も併せて発表している(製品情報)。