写真 会見に登場したIIJの鈴木幸一社長
写真 会見に登場したIIJの鈴木幸一社長
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 インターネットイニシアティブ(IIJ)は5月10日,2005年度(2005年4月1日から2006年3月31日まで)の連結決算を発表した。連結の売上高は498億1000万円で前年度比で19.4%増。営業利益は24億1000万円で,前年度比93.3%増と大幅な伸びを示した。当期純利益は47億5000万円で前年度比63.6%増。「売上高,営業利益とも過去最高」という。

 業績を押し上げたのは,ネットワーク・インテグレーション(NI)事業の大幅な伸びだ。昨年度は売上高が75億9900万円だったのに対し,2005年度は122億9600万円と前年度比で161.8%の大幅増をたたき出した。IIJの鈴木幸一社長(写真)は,「2005年から企業が本格的にIT投資を進めたことが要因。具体的には,ミッション・クリティカルなシステム構築の機運が高まったことや,ネットワークの更改に合わせて業務システムを再構築する企業が相次いだことによる」と説明した。売上原価や販売管理費などの削減も後押しした。

 インターネット接続事業の中では,専用線接続サービスが増収基調にあることも明らかにした。1Gビット/秒もしくは10Gビット/秒といった広帯域の専用線の契約が増えたというのが,その理由。帯域当たりの料金の下落は依然として続いているものの,これを上回るペースで広帯域回線の契約が伸びた。鈴木社長は,「専用線接続サービスが上向くのは久々。これはコンテンツ配信ビジネスの成長によるものだ。コンテンツ配信の今後の展開次第で,当社の基礎であるインターネット接続事業の業績は大きく変わってくる」と語った。

 2007年度の業績見通しは,売上高が前年度比10.4%増の550億円,営業利益が前年度比32.7%増で32億円。売上高の見通しが低いのではないかという質問に対しては,「これ以上の売上高を出すには人材面で不安がある」(鈴木社長)と答えた。NI事業には高いスキルを持ったエンジニアを必要になる。「毎年エンジニアを採用しているが,教育には時間がかかる。エンジニアの成長度合いに左右される」(鈴木社長)という事情を明かした。

 こうした状況から,IIJは“プロダクト志向”を強めている。自社で製品やプラットフォームを開発し,これらを組み合わせてシステムを構築しようという考え方だ。機器を導入する際の設定作業をゼロにするマネージメント・システム「SMF」などが一例。IIJが独自に開発した製品やプラットフォームを組み合わせることで,少ない人材で多くの案件を受けられるようになる。「自ら製品などの開発をすると研究開発費などの投資がかさみリスクは高まる。だが,人材不足の問題をクリアできる」(鈴木社長)メリットが生まれる。