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■ パッケージの呪縛から解き放たれる---米ロサンゼルスで5月10日から開催される展示会「E3 2006」には,実機を多数展示するのですか。久多良木氏:時代はネットワークでしょ。それぞれの実機用に,わざわざ「お皿(ディスク)」を用意する必然性はないかと考えた。なので今回,展示会場のデータ・センターに複数の開発ツールをスタックしておき,それをネットワークにつなぎ,楽しんでもらうことにした。しかも,その開発ツールは,各社の開発拠点とつながっている。 となると,展示会の会期中,毎日,ゲームのデータをFTPでアップデートできる。これは,アーケード・ゲームを開発している人には当たり前の発想だが,コンシューマ相手のゲーム開発者はどうしても「パッケージ」にこだわってしまう。これからはコンシューマ向けのゲームも,ネットワークを使った発想に変わっていくことでしょう。 開発会社とお店,そしてユーザーがネットワークにつながった状態で発売日を迎えるってことだって十分にあり得る。BD(Blu-ray Disc)はキー・ディスクのような存在で,ネットワークを使ってどんどんアイテムが更新されるとか。自分が店頭で遊んでいた状態をネットワーク経由で,自分のPS3にキャリーオーバーする(持ち越す)こともできる。手元にプログラムがあって,ネットワークの向こうにデータがあって,PS3の世界が無限に広がる---。 こういうことが当たり前になるまで,そう時間がかかるとは思えない。そうなると,PS3は発売したときから,ネットワークと共に進化を始めることになる。パッケージに閉じなくて済むのだから。 ---一般ユーザーが,こういう世界を実感するようになるのは2〜3年先のことでしょうか。 久多良木氏:いやぁ,僕は気の早い方だから,そんなに先とは思わない。来年の3月くらいには,多くの人がそういう時代の始まりを感じることでしょう。映像だってネットでみるようになるのだから,ゲームがパッケージに閉じ続けているはずがない。
■ PS3はBTOで買えるかも---そういうネットワーク経由の利用が増えれば,ハードディスク装置が果たす役割も大きくなるかと。その割に,容量は20Gバイトまたは60Gバイトと小さいですね。久多良木氏:僕は,PS3はコンピュータそのものだと思っている。コンピュータでは,CD-ROMからプログラムを直接実行するのではなく,ハードディスク装置に一度ダウンロードする。PS3でも,HDDはそういう利用方法になるだろう。つまりキャッシュ的な役割を果たす。使い方によってはHDDの容量が足りなくなるのは確かだ。そういう人は,大容量HDDを買い足せばいい。 来年か再来年には120Gバイト品が出るかもしれない。仕様の違いは,別バージョンではなく,別コンフィギュレーションのPS3と考えてほしい。だってPS3はコンピュータなんだから。顧客ごとに仕様が異なるBTO(built to order)で売ってもいいくらい。それを前提に,内部はモジュール化して設計してある。家電や従来のゲーム機とはまったく違う発想で内部を設計した。コンピュータを設計する発想で,拡張性を考え,標準インタフェースを採用し,各種の部品を選択した。 ---今回,多数のタイトルが披露されました。久多良木さんの「イチオシ」はどれでしょうか。 久多良木氏:それぞれによさがあるから,一つを選ぶのは難しい。ただ,特に気に入っているのはカード型ゲーム「アイ・オブ・ジャッジメント」。あれ,ものすごい広がりを感じるでしょ。カメラの「Eye Toy」を使ってどんなカードか認識するだけではなく,そのカードによって新しい世界を表現するところに面白さがある。 いろいろなアプリケーションの可能性があるだろう。もちろん,カード型ゲームとしても十分に楽しいけど,あの発想を別の用途に生かせば,今までのPS2とは違う世界が開けるという期待がある。今はVGAのカメラだけど,あれがHDカメラになったらどんなことが実現できるか。認識対象がカードではなくなり,別のものになったら何に使えるか。子供が思いも付かない物体を置くと突然,魔法のように何かが浮き上がって表示されるとか。 ---仮想の世界とリアルの世界の融合ということでしょうか。 久多良木氏:ネットワークと連動すると,いろいろなことが起こるかも知れない。例えば,FeliCaのような非接触型ICカードのような用途はすぐ思いつくでしょ。コンサートのチケット代わりやバーコード応用・・・。アイデアがどんどん沸いてくる。 (次ページへ)
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