「セキュリティの強化と利便性の向上は相反するものだが、Internet Explorer(IE) 7ではこれらの両立を目指した。一般ユーザーはもちろん、ITプロフェッショナルや企業のIT管理者、Webデザイナの皆さんには、ぜひIE 7のベータ2をダウンロードして、使い勝手や強化されたセキュリティを評価してほしい」。マイクロソフトの中川哲Windows本部ビジネスWindows製品部マネージャは、こう訴える。

 マイクロソフトは5月9日、IE 7のベータ2を一般公開した。現行のIE 6から、実に5年ぶりとなるメジャー・バージョンアップ版である。製品版は2006年後半に公開予定だ。

 IE7では、タブ・ブラウジングやRSSリーダーなど、FireFox、Mozilla、Operaといった“今どきの”Webブラウザが備える機能を実装した。タブ・ブラウジングは、同一ウインドウ内に複数のWebページを開いておき、タブを切り替えて各サイトを閲覧できるようにする。現在タブで開いているWebページを、縮小して同一画面内に一覧表示することも可能だ。

 RSSリーダー機能を使えば、ニュース・サイトなどRSS形式のデータ(RSSフィード)を配信しているWebサイトを開くと、自動的にRSSフィードを検出する。その後、ブックマークを登録する要領で、RSSフィードを登録しておけば、以後は情報が更新されるたびに、自動的に購読できる。

 マイクロソフトはこうした使い勝手を改善する一方、セキュリティ機能を大幅に強化した。その一つが、フィッシング詐欺対策機能である。ユーザーがアクセスしたWebサイトのアドレスを、マイクロソフトが蓄積・管理しているフィッシング・サイトのブラックリスト・データベースに照合。疑わしいサイトの場合は警告を表示し、「問題あり」と判断した場合にはアクセスをブロックする。

 安全なサイトかそうでないかを見分けやすくするため、SSL暗号がかかっているかどうかを示す錠前マークのアイコンを、画面上部のアドレスバー横に配置。フィッシングと疑わしいサイトの場合はアドレスバーが黄色に、問題ありの場合は赤くなって、ユーザーに知らせる。

 マイクロソフトは、こうしたセキュリティ機能をはじめとする、IE7ベータ2の機能や品質、使用感に関するフィードバックを受け付けている。例えばユーザーが新しくフィッシング・サイトを発見したり、逆にフィッシング・サイトではないWebサイトが疑いありと判断されてしまった場合だ。フィッシング・サイトの濡れ衣を着せられたサイトを報告した場合は、「当社のエンジニアがしかるべきチェックを実行した後に、ブラックリストから排除したり修正を施す」(中川マネージャ)。

 フィードバックの受付窓口の電話番号は0120-690196。セキュリティや使用感のチェックリストを、技術情報サイトに用意する予定だ。このほかマイクロソフトのWebサイトのニュースグループやマイクロソフトが運営するパソコン関連のコミュニティ・サイト「答えてねっと」に質問や使用感を投稿できる。