写真1 「通信と放送の在り方に関する懇談会」の第11回会合の様子
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写真2 懇談会終了後の会見で報告する竹中平蔵総務大臣と座長の松原聡東洋大学教授
写真2 懇談会終了後の会見で報告する竹中平蔵総務大臣と座長の松原聡東洋大学教授
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 NTT東西地域会社のアクセス部門を分離する可能性が浮上してきた。竹中平蔵総務大臣が主催する「通信と放送の在り方に関する懇談会」(竹中懇)が5月9日開催した第11回会合で,NTTのあり方についての方向性を結論付けたからだ(写真1)。

 NTTのあり方については前回の会合で,4パターンの可能性を提示済み。具体的には,(1)現状のまま,持ち株会社の傘下に事業会社を置く形,(2)NTTの中でも特に独占性の強いアクセス部門を,英BTのように機能分離する形。この場合,会計分離だけではなく,人事交流や統一ブランドの使用も禁止する,(3)公開ヒアリングなどでソフトバンクが主張した,NTTのアクセス部門を組織分離する形,(4)NTTの持ち株会社を廃止し,NTTの事業部門ごとに完全に資本分離する形−−である。

 懇談会終了後,会見に臨んだ座長の松原聡東洋大学教授(写真2)は,「(1)の現状のままというのはない。最低でも(2)のアクセス部門を機能分離することで合意した」と発言。さらに次回会合で,「機能分離の方法として,(3)の構造分離や(4)の資本分離まで踏み込むべきかどうかを議論する」ことを明らかにした。同時に,分離を完了するまでのステップや期間についても検討する方針だ。

 今回の会合では,NTTのあり方だけでなく,IPマルチキャストを著作権法上で速やかに「有線放送」に位置付けることや,NHKのチャンネル数をBS・AM・FMの中から削減することなど複数の項目で構成員が合意した。これまでの懇談会で挙がった論点を松原座長が整理。すべての項目に対して座長が“論点メモ”として進むべき方向性を示し,これを基に議論を進めたという。

 次回会合は5月16日の予定で,積み残した論点を議論する。近く最終報告書をまとめる見通し。また竹中総務大臣は,「懇談会で合意した内容は,可能な限り『骨太方針』に盛り込みたい」意向を明らかにした。骨太方針は,政府の経済財政運営の基本方針。これに懇談会の結論が盛り込まれれば,通信・放送業界に多大な影響が及ぶ。