竹中平蔵総務相の私的懇談会「通信・放送の在り方に関する懇談会」は2006年5月9日に第11回の会合を開き,5月中にも公表する懇談会としての方針について論点整理を行った。論点は大きく,(1)通信と放送の融合を進める環境整備,(2)通信事業の競争促進を一層進めるためのNTTの在り方,(3)放送事業者の事業展開,(4)NHKの抜本改革――の4点である。

 今回の会合では,これらの論点に関連して議論を行い,いくつかの方針をまとめた。具体的には,通信と放送の融合促進については,IPマルチキャスト方式の放送サービスを著作権法上も既存の放送と同等に扱えるように速やかに措置を講じるべきとした。次にNTTグループの在り方については,固定通信におけるアクセス回線部門を独立性の高い社内部門として分離する規制強化策を講じるべきとした。当面は現行のNTT法の改正なしに実行できる規制強化によって機能分離を進め,アクセス回線部門の分社化やグループ各社の資本分離などはその延長で議論を継続すべきとの見解である。

 さらに放送分野では,マスメディアの集中排除原則について,民放キー局が系列の放送局や衛星放送事業に対して一定の出資や資本統合を行うことを認める緩和措置が必要だとした。また,NHK改革については経営委員会の常勤化や事務局の強化といった経営体制の改革を早急に行い,チャンネル数については衛星放送とAMラジオ放送,FMラジオ放送を対象に削減を検討すべきとした。

 懇談会は今後1回か2回の会合を開き,5月中にも最終報告をまとめる見通しである。