●図1 リニューアルしたマーズフラッグのトップページ。これまでと大きく異なり、シンプルなデザインだ
●図1 リニューアルしたマーズフラッグのトップページ。これまでと大きく異なり、シンプルなデザインだ
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●図2 マーズフラッグの武井信也社長
●図2 マーズフラッグの武井信也社長
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●図3 「インターネット」というキーワードで検索した結果。ソフトのダウンロードサイトやショッピングサイトなどが上位に並んだ
●図3 「インターネット」というキーワードで検索した結果。ソフトのダウンロードサイトやショッピングサイトなどが上位に並んだ
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 マーズフラッグは2006年5月8日、検索サービスをリニューアルした(図1)。マーズフラッグは、検索結果を文字だけでなく、画像も同時に表示するのが特徴の検索サイト。この機能を中核に据えながら、デザインや内部のプログラムを一新した。

 マーズフラッグは、Webページの収集から検索結果のランキング付けまで、すべて自社の技術で実現している企業だ。米国生まれの検索エンジンを採用するサイトが多いなかでは、特異な存在と言える。同社が目指す検索エンジンとはどのようなもか。さらには、今回のリニューアルの狙いはどこにあるのか。武井信也社長に聞いた(図2)。

■今回のリニューアルの背景は。

武井:約1年間、ベータ版として検索エンジンを提供し、ユーザーや広告主からさまざまな声を聞いた。これを反映させ、全く新しい検索エンジンを開発した。技術的には、ゼロから開発した。従来のエンジンから流用した部分は一切ない。

■リニューアルのポイントは何か。

武井:検索エンジンのキモは、(1)検索可能な範囲が十分に広い(2)検索結果の並び順が適当である(3)心地良い速度で動作する、の3つだ。今回は、この3つの基本に立ち返ってエンジンを強化した。

 まず(1)に関しては、検索対象とするページを徹底的に増やした。具体的な数は明かせないが、日本語のページならGoogleやYahoo!と比較しても遜色ないレベルだと考えている。

 (2)についても、検索結果のランク付けの方法を抜本的に変えた。マーズフラッグでは、検索結果に驚きが含まれていないと意味がないと考えている。まだあまり知られていないが面白いページ、旬なページなどを上位に出して、ユーザーに驚きを与えたい。そのために、ランキングにはさまざまな条件を使っている。例えば、提供中のブックマーク共有サービス「FACE」でどんなサイトが注目されているかを解析したり、ブログで話題の新語、URLなどから旬なページを割り出すなどして、上位に表示するような仕組みを開発した。

 ただ、このように複雑な条件を設けると、インデックス(検索に利用する索引情報)のサイズが大きくなって検索速度が低下しがちになる。それを防ぐために、(3)には非常に力を入れた。インデックスを高圧縮し、効率的にインデックスを参照できる技術を開発した。重箱の隅をつつくような細かなチューニングも施した。こうしたインデックス技術は、Googleをしのぐ技術であると考えている。狭い空間で快適に暮らす工夫が求められてきた日本人だからこそ開発できた。いわば「4畳半テクノロジー」だ。

■とはいえ、検索の世界ではGoogleが圧倒的な強さを見せているが。

武井:我々は、Googleを抜こうと考えているのではない。Googleとは異なる検索エンジンを提供したいのだ。

 Googleは、字引き的な使われ方をする検索エンジンだと思う。例えば「○○とは」というキーワードで検索して、○○に関して調べる、という使い方だ。これはWebを、人間が覚えきれない情報を保持している外部記憶として使うという発想。言ってみればリカバリー型の検索エンジンだ。

 それに対して我々は、ディスカバリー型の検索エンジンを目指している。ユーザーには、自分が想定していないような、未知のページを発見してほしい。だから、これまでの検索エンジンとは検索結果の順位付けの方法が異なる。例えば順位付けの際には、本文中に含まれる言葉だけでなくページのデザインも考慮している。また、急速にアクセスが増えているページを重視するといった仕組みも入れている。

 ただ今回は、字引き的な使われ方にも対応している。字引き的な情報も上位のどこかに出しつつ、驚きを与えられる結果も表示したい。

■どんな言葉で検索すると、マーズフラッグの特徴を理解しやすいか。

武井:抽象的な言葉の方が、面白い結果が出るだろう。例えば「インターネット」という言葉で検索すると、既存の検索エンジンは「インターネット」が社名や団体名に含まれるサイトや、Wikipediaの「インターネット」の項目などが上位に表示されるだろう。マーズフラッグの結果は、全く異なるものになるはずだ(図3)。