写真1●日立製作所ソフトウェア事業部OSSテクノロジセンタ担当部長の鈴木 友峰氏
写真1●日立製作所ソフトウェア事業部OSSテクノロジセンタ担当部長の鈴木 友峰氏
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写真2●OSS関連情報をデータベース化した「OSS iPedia」のサンプル画面
写真2●OSS関連情報をデータベース化した「OSS iPedia」のサンプル画面
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 オープンソース・ソフトウエアの普及を目的に,独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は2006年1月,オープンソースソフトウェア・センター(OSSセンター)を設立した。5月中旬には,OSS関連情報のデータベース(OSS iPedia)を公開する予定だ。OSSセンターで技術WG主査を務める,日立製作所ソフトウェア事業部OSSテクノロジセンタ担当部長の鈴木 友峰氏(写真1)に,OSSセンター設立の狙いとユーザー企業のメリットについて聞いた。

——OSSセンター設立の狙いは何ですか。

 これまでIPAで実施してきたOSS推進施策を集約して,OSSの「基盤整備」,「普及促進」,「情報集約と発信」を行います。 同時に,今まで以上に効果的に,ユーザー企業にこうした施策の成果を利用してもらえるようにします。

——それぞれの具体的な内容は。

 基盤整備としては,OSSの性能評価やOSSデスクトップの導入を始めとする実証実験,開発支援を行います。例えば,OSSの性能評価では2004年度から累計で約150件の性能評価結果を公開しています。また,近々,最新の評価結果を公開する予定です。そこでは,PostgreSQLの最新版(バージョン8.1)では,8CPUまでリニアに性能が伸びるようになったなど,興味深い結果が得られています。

 普及促進では,OSSの企業システムなどへの導入・運用事例などを収集して公開します。また,OSSの法的課題の整理や提言なども行う予定です。

 基盤整備や普及促進といった活動で蓄積・収集した情報については,それをデータベース化したOSS iPedia(写真2)にて公開します。これが情報集約と発信です。OSS iPediaは5月中旬に公開します。性能評価情報に加え,LinuxやOSSを用いたシステム構築事例やOSS関連用語集,リンク集などで構成します。

——ユーザー企業にとってのメリットは何でしょうか。

 先ほどのPostgreSQLの例では,バージョン8.0までは8CPUにしてもそれほど性能は向上しませんでしたが,バージョン8.1では8CPUまでリニアに性能が伸びます。こうした情報を提供することで,ユーザー企業は「OSSをこう使えば性能が出る」ということが分かります。これにより,OSSを効果的に使ってもらうことができるでしょう。さらに,企業システムへの導入・運用事例がそろっていけば,「ここまでOSSでできる」ことをユーザー企業にアピールでき,普及促進につながります。

——開発支援の形態も変わるそうですね。

 従来は,提案公募型の開発支援でした。「OSS関連で何か開発をしたい人」を募集して支援してきたわけです。今後は,提案公募型に加えて,テーマ型の開発支援を実施します。OSSの普及に向けて何が足りないかをOSSセンターが把握し,足りない部分をテーマに据えた開発支援を行います。つまり,「この機能を開発したい人」というように募集するわけです。

——5月15日にOpen Source Revolution!で講演されますが,その見どころは。

 近々公開するOSS iPediaや最新の性能評価結果などに基づいて,OSSセンターの今後の活動内容を明らかにします。OSS活用を検討されているユーザー企業に有益な情報を公開していきますので,ぜひご来場いただき,今後の活動内容を理解していただければと思います。