米Intelは,サーバー向けデュアルコア・プロセッサ「Dual Core Xeon」の出荷計画を大幅に前倒しした。当初6月に出荷する予定だったコード名「Dempsey(デンプシー)」を5月23日に出荷し,第3四半期(8~9月と見られていた)に出荷する予定だった同「Woodcrest(ウッドクレスト)」は6月にも出荷する見込みである。同社の日本法人も,米国本社でWoodcrestのスケジュールを前倒ししたことを認めた。

 Dempseyは,65ナノメートルのCPUダイ(シリコンウエハー・チップ)2個を一つにパッケージングしたもので,純粋な意味ではデュアルコア・プロセッサとは言い難い。90ナノメートルのCPUダイを使用する現行のDual Core Xeon(コード名「Paxville DP(パックスビル・ディーピー)」)と比べると,チップセットとの接続バス(FSB:Front Side Bus)の周波数を上げて高速化を図っているが,「アーキテクチャは従来同様のNetBurstマイクロアーキテクチャに基づいている。シングルコアを単純につなぎ合わせたイメージで,急場しのぎの感が強い」(某周辺機器ベンダーの技術者)と業界内からも批判があった。

 そこでIntelは,2006年3月に開催した開発者向け会議「IDF(Intel Developer Forum)」で消費電力当たりの処理性能を大幅に改善する新アーキテクチャ「Coreマイクロアーキテクチャ」を発表し,巻き返しを図っていた。このCoreマイクロアーキテクチャに基づく最初のプロセッサが,「Woodcrest」である。
 Woodcrestは,65ナノメートルのCPUダイ1個に,二つのCPUコアと4Mバイトの共有型二次キャッシュ,共有型FSBを搭載する純粋なデュアルコア・プロセッサだ。「Paxville DPと比べて,消費電力を35%削減しながら,パフォーマンスは80%向上する」(マーケティング本部 エンタープライズ・プラットフォーム・マーケティング 部長 廣田洋一氏)という。Intelでは混乱を避けるために,Woodcrestに主軸を置きながら,低価格サーバーや消費電力を重視しない用途ではDempseyを推奨するなど,棲み分けを図ると見られる。

【変更履歴】
 当初,Dempseyの写真を掲載しておりましたが,著作権を考慮して記事から削除しました。また,Dempseyの出荷日についてはインテル日本法人の確認は得ていませんので(Woodcrestは確認済み),表現を変更しました。[2006/5/10]