生花・花束の販売や、装飾・ディスプレー事業、フラワーデザインスクールなどを手がける日比谷花壇(東京・港区)は、ネット販売強化のため、アフィリエイト・プログラムを強化する。今年9月末までに200社以上のパートナーの獲得を目指す。

 同社は1950年設立の老舗だが、消費者のネット利用が一般化する前からネット販売に積極的に取り組んできた。1994年にパソコン通信ネットで花のネット販売に着手、インターネットの存在が認知され始めたばかりの95年にはいち早くホームページを開設し、2001年にはウェブ上でオンラインショップを立ち上げた。

 だが、花のオンライン販売は、当初から企業や個人商店が入り乱れての激戦状態。販売力強化のための抜本的な仕掛けが必要と危機感を持った同社は、2002年に米国企業からビジネスモデル特許の使用権を得て、アフィリエイト・プログラムの一種である「コーブランド・パートナーシッププログラム」に着手した。

 一般にアフィリエイト・プログラムというと、相手サイトにバナーを張ってもらうといったものだが、同社のプログラムは相手サイトの中に専用のページを提供することが特徴。「自社商品の案内画面だけでは季節感が出にくい、といったコンテンツ作りの悩みを抱える企業は多い。母の日やクリスマスシーズンなどに花の写真をふんだんに使った彩りのあるページが欲しいといったニーズにマッチしている方法」(同社ビジネスソリューション事業本部パートナービジネス事業の中田晶三事業部長)という。

 2002年当初は約30社と協力関係を結ぶにとどまったが、その後、2005年初めにはクレジットカード会社の大半と同プログラムの協力関係を結ぶなど順調に拡大。2006年4月現在でパートナー数は140に達した。パートナー数を前年度比140%のペースで伸ばす目標を立てており、2006年9月期の期末時点で200社以上は獲得できると同社は見ている。

 同社のネット販売事業は、「会社全体の年商200億円のうちの10%強」(同)という。このうち同プログラムによる売り上げはまだ2割弱というが、競争が激しいネット事業における販売強化の切り札として、このアフィリエイト・プログラムの強化に向けた新たな試みも行っていく。

 例えば、今年の母の日に備えて、3月から5月までの期間限定で「母の日コム」というサイトを開設した。これは約50社のパートナーの商品情報やコンテンツを持ち寄り、花の話題に限らず、旅行やグルメ情報を表示したり、俳句コンテストなどを行うサイトだ。

 「母の日関連のリンクを集めたりしたサイトは珍しくないが、まずはコンテンツのしっかりしたサイトを作り、視聴者数獲得に努める。今年の取り組みだけでは恐らく赤字プロジェクトになるが、パートナとの新たな協力関係のノウハウを得るため挑戦しているところ」と中田事業部長は語る。