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 Webサイトのコンテンツを管理するソフト、CMS(コンテンツ管理システム)を導入する企業が最近増えている。CMSの主要製品の一つ「NOREN」を開発した韓国I-ON Communicationsのオ・ゼチョル社長兼CEOに、CMSの最新動向を聞いた。国内ではアシストがNORENを販売し、日立製作所やソニーEMCS、神戸製鋼所、関西電力などの大企業が導入している。

――NORENにおける企業の導入状況は。
 NORENを導入している企業は、韓国で400社、日本では100社を超えた。伸び率では韓国より日本のほうが高い。その理由としては、日本のほうが扱うコンテンツの量が多いことや、顧客重視の企業文化が定着していることが大きい。2006年には日本で60~70社が導入すると見込んでいる。実際、1月~4月の実績を見ると、昨年の2~2.5倍のペースで推移している。

――どういった目的でCMSが使われているのか。
 CMSは米国で生まれたものだが、米国とアジアでは主な利用目的が異なる。韓国や日本でCMSというと、たいていはWebサイトのコンテンツ管理を指す。一方、欧米の場合は、Webサイトではなく企業内のドキュメント管理を指すことが多い。

 前者はWCM(Web Content Management)、後者はECM(Enterprise Content Management)と呼ぶ。「Documentum」や「Stellent」などが代表的なECMだ。全世界のECMマーケットのほとんどを欧米が占めている。

 一方で日本のIT市場の大きさの割にECMシェアが低い。このことからも明らかなように、日本やアジアのCMSはWCMの方向に発展を続けてきた。ただ欧米のECMソフトも、Webサイトが増えるにつれ、WCMのほうに領域を広げてきた。

――欧米と異なった理由は何か。
 そうなったのには、欧米が早くからIT投資をしてきたため、文書管理システムやイメージ管理システムを構築済みの企業が多いといった背景がある。そのような企業は、Webサイトも、文書管理で対象とするシステムの延長線上にあると見ている。

 アジアではITに対する投資が遅れている上、投資対象も経営情報システムに向いていた。このため、アジアでコンテンツ管理というのは、新しい投資と考えられている。

――今後はどうなると見ているか。
 今後2年後くらいには欧米と同じ方向に進むと見ている。Webコンテンツに加え、企業内の文書、知識、イメージ、プロセスなどすべてを統合管理するという方向だ。NORENも現在カバーしているWCMだけでなく、ECMがカバーする範囲に管理対象を広げていく。つまり、WCMの長所を持っているECMになる。

 これは、採用しているユーザー企業からの要望だ。さらに、ECMはコンプライアンスを実現するツールという側面でも重要性を増している。