LinuxマシンをWindows PCのファイル・サーバとして利用するためのOSS(オープンソース・ソフトウェア)であるSamba。企業のファイル・サーバをWindowsからそのSambaに移行する動きが加速している。日本Sambaユーザ会の立ち上げメンバーの1人で、同会のスタッフでもあるNECのOSS推進センター主任・太田俊哉氏にOSSの動向、Samba導入のメリットについて聞いた。
――OSSを利用した構築事例で最近注目すべき動きはありますか?
ここ数年基幹システムへのLinuxの適用が進んでいますが、最近はミドルウェア層やアプリケーション層でのOSSの利用も増えています。特にLinuxとOSSの組み合わせでDBシステムやアプリケーション・サーバなどミッションクリティカルな部分に利用する例が増えています。それに伴いLinuxやApacheだけでなく、TomcatやJBossなどさまざまなOSSの活用が進んでいる印象があります。またそれらのOSSと商用製品とを組み合わせた構築例も増えています。
――そのような中、今回の講演では太田さんが深く関わってこられたSambaについてお話しいただきます。Windowsサーバと比較してSamba導入のメリットはなんでしょうか?
まず、大規模ユーザについてみれば導入にあたって過剰な費用がいらなくなる、という点が挙げられます。運用管理についてもサーバ全体を落とさずに保守することがSambaならできます。またLinuxを狙ったウイルスはまだ少ないため、まん延するWindowsを狙ったウイルスのターゲットになりにくいというセキュリティ面の強みもあります。Windowsの機能のすべてを備えるわけではありませんが、Windows以上の機能もあります。例えば、特定のユーザー以外にはフォルダそのものを見えなくさせるといった機能です。
――導入上の一番の注意点はなんでしょう。
Windowsの機能をすべて吸収できるわけではありません。またWindowsでパッチを適用するとSambaが動かなくなることもあります。クライアントの違い(WindowsかLinuxか)やシステム規模の違いでもユーザー管理の方法などが変わってくるので、導入するシステムの事前の見極めやヒアリングが重要です。しかしそれらのノウハウはNECが提供しますし、ファイル・サーバ自体は導入してしまえばメンテナンスは楽なので安心して検討してもらえると思います。
――NECのビジネスとしてSambaの重要度が増してきたのはいつごろからですか。
目立って増えてきたのは一昨年の後半からです。これはWindows NTのサポート終了の時期と重なっています。元々はユーザからの指名が多かったのですが、NECからのソリューションをパッケージ化しての提案も増えてきました。
――5月15日に「Open Source Revolution!」で講演していただきますが、その内容、見どころなど簡単に説明してください。
今回の講演では、Windowsで複雑なアクセス制限をかけていたものを短期間でSambaに移行した未公開の事例を紹介します。またSambaだけでなくNECがサポートするOSSミドルウエアの全体像を解説しますので、ぜひご来場いただきたいと思います。