USENが運営する映像配信サイト「GyaO」の登録者数が,開設からほぼ1年が経った2006年4月22日に900万人に達した。GyaOで公開している多数の番組のうち,半数近くはGyaOで独占的に配信している独自コンテンツである。独自コンテンツには自主制作したもののほか,番組制作会社から調達した作品が多数ある。これらのオリジナルコンテンツがGyaOの成長を支えている。

 実はこれ,ブロードバンド(高速大容量)回線の普及を機に,映像コンテンツ市場を改革しようと考えた経済産業省の思惑を反映した動きともいえるのだ。日本の映像コンテンツ市場は地上波放送事業者を中心に展開している。経産省はこのことが,市場の成長を妨げていると判断している。改革のモデルとしているのが,世界一の規模を誇る米国の映像コンテンツ市場である。

 米国の場合,地上波放送事業者ではなく,映画の都・ハリウッドを中心に映像コンテンツ市場が形成されている。ハリウッドのメジャースタジオは,作ったコンテンツを劇場で公開した後,DVD化したり,有料放送で流したり,海外で公開したりと,様々な方法で収入の最大化を図っている。日本に目を転じると,映像コンテンツの多くは地上波放送事業者が作っている。そして放送することだけで事業を完結させてきた(詳細は日経ニューメディア2006年5月1日号に掲載)。