埼玉県鳩ヶ谷市は、4月24日からセキュアプリントシステムを稼働させた。これは、プリンターで印刷・出力したりコピーをしたりするたびに、職員証(ICカード)での認証を義務付けることで、出力された“紙”を誰が受け取ったかを記録する仕組み。ルーズになりがちな紙文書の管理を徹底することで、情報漏えいの可能性を減らすのが目的である。同市総合政策課では「ここまで徹底した紙出力管理は、自治体として全国初の取り組みと認識している」と話している。

 同市では昨年10月に、セキュリティの強化を図るために職員証をICカードに切り替えた。セキュアプリントシステムでは、プリントアウト時やコピー利用時にこのICカード情報を読み込ませて、操作する個人を認証しその利用履歴を保存する。

 具体的には、まずパソコンを立ち上げる時に、ICカードの情報を読み込ませなければならない。そのパソコンからプリントアウトを実行すると、ICカード情報が埋め込まれたプリントデータが、プリント管理サーバーに送られる。紙に出力するには、複合機でICカード認証を行い、そのICカード情報と一致する情報を持つプリントアウトデータだけが出力される。ちなみにコピーやファクス、スキャナー機能を利用する場合も、同様にICカードによる個人認証が必要で、使用状況が記録される。

 以前はこうした認証をかけていなかったために、自分の文書が他の出力に紛れ込んだり、誰が出力したかわからないものがトレーに残っている、といった状況だった。しかし、「市民の信頼を得るためには、職員が責任を持って紙プリントの管理を実現する必要があった」(総合政策課)という。

 以前はネットワーク上にプリンターが60台、コピー機が7台あったが、これを複合機15台に切替えた。同時に、パソコンからのプリント情報やコピーの利用状況を管理するプリント管理サーバーと、ICカードの情報から個人の認証と権限を管理する認証管理サーバーを設置した。ちなみに同市は、機器の集約による経費節減効果として、コピーとプリンターに関する年間経費で対前年比30%(約300万円)のコスト削減を見込んでいる。(本間 康裕)