写真 2006年第1四半期決算を説明するJ:COMの森泉知行・代表取締役社長
写真 2006年第1四半期決算を説明するJ:COMの森泉知行・代表取締役社長
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 ケーブルテレビ運営大手のジュピターテレコム(J:COM)は4月26日,2006年12月期第1四半期(2006年1月~3月)の連結決算を発表した。営業収益は対前年同期比20.4%増の511億円,営業利益は同14.4%増の76億円,税引前利益は同41.7%増の70億円。さらに純利益は同30.4%増の44億円と増収増益を達成した。2006年通期予想(1月30日発表)に変更はなく,営業収益は2200億円,純利益は185億円を見込む。

 業績好調の理由は加入世帯数の増加などによって,ケーブルテレビ,インターネット接続,固定電話の各利用料収入が大幅に増えたため。ケーブルテレビ事業は,前年同期に比べて37億円増の237億円,インターネット接続事業は同26億円増の137億円,固定電話事業は同14億円増の84億円となった。

 総加入世帯数は前年同期末から13%増の202万5000世帯(連結子会社分の合計)。うち,ケーブルテレビは169万6000世帯,インターネット接続は88万4000世帯,固定電話は95万世帯である。ケーブルテレビとインターネット接続,固定電話といった複数サービスに対する1世帯当たりの契約数も上昇。前年同期は1.68サービスだったが,今期は1世帯当たり1.74サービスの契約となり,“トリプルプレイ”化が進んでいる。

 J:COMはこの3月に新サービスを相次ぎ投入しており,森泉知行・代表取締役社長(写真)はそれらについても言及した。森泉社長が当期の目玉として挙げたのが「HDR」と「J:COM MOBILE」である。HDRは3月8日に発表,同月から受け付けを開始したHDD(ハード・ディスク装置)内蔵型のセットトップ・ボックスのレンタル・サービスのこと(関連記事1)。ダブル・チューナー搭載のデジタル・ハイビジョン録画再生機が月額840円で利用できることも後押しし,「3月の受付開始から1カ月半で1万件超のオーダーを達成。当初予想を大幅に上回る」(森泉社長)と絶好調さをアピール。現在提供している機器は韓国HUMAX製だが,今後は「マルチベンダー化も検討している」とし,機種を増やす意向を示した。

 一方,J:COM MOBILEは,2005年10月27日に発表,3月1日から提供を開始した独自ブランドによるPHSサービス。ウィルコムからPHS回線を借りて事業を展開する(関連記事2)。3月末時点の加入者数は「3000から4000」(加藤徹・取締役商品戦略本部長)にすぎないが,「2年間で既存のJ:COM PHONE(固定電話)加入者の10%の加入を目指しており,そのレンジでは当初予定通り」(同)と説明する。同社では,子供や高齢者をターゲットに,ウィルコムのPHSモジュール「W-SIM」を使った端末を他社と共同で検討していることなどを明らかにした。

 また,2004年4月から本格的にスタートしたケーブルテレビのデジタル化も順調に推移。61万5000世帯がデジタル・サービスに加入しており,デジタル・サービス提供エリアの加入世帯に占めるデジタル化率は40%となった。