写真 3人に1人がウイルス感染の被害を経験
写真 3人に1人がウイルス感染の被害を経験
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 情報処理推進機構(IPA)は4月26日,インターネットの利用者を対象に実施したセキュリティ実態調査「情報セキュリティに関する新たな脅威に対する意識調査」の結果を発表した。調査した内容は主に,(1)被害経験の有無,(2)ウイルスやスパイウエアといった事象の認知率と理解度,(3)対策状況である。IPAが調査会社に委託し,2006年2月3日と4日に15歳以上のインターネット利用者を対象にWebアンケートを実施。回答を得た5142件を集計した。

 (1)の被害経験では,ウイルス感染が33.3%という高い結果が出た(写真)。「我々の予想以上に多かった」(セキュリティセンターの三角育生センター長)。このほかの被害については,スパイウエアが11.3%,個人情報の流出が3.7%,ワンクリック詐欺が3.1%,フィッシングが0.7%となった。

「セキュリティ・ホール」を理解しているユーザーは1割

 (2)の認知率と理解度は,ウイルス以外は浸透していないことが判明した。「ボット」と「ファーミング」は約9割近くのユーザーが「聞いたことがない」と回答。さらに「セキュリティ・ホール(ぜい弱性)」という用語も約5割しか知らず,正しく理解しているユーザーは1割だけだった。三角センター長は「この結果には,かなりの衝撃を受けた。情報発信などで気軽にセキュリティ・ホールという言葉を使っていたが,理解されていなかった。用語の使い方を見直す必要がある」と話す。

 ただし,こうした結果の割には,(3)の対策状況は比較的に進んでいる。「Windows Update等による更新」が77.3%,「セキュリティ対策ソフトの導入」が79.7%,「パスワードの定期的な変更」が42.6%,「怪しい電子メール・添付ファイルの削除」が88.6%という結果が出た。

 このほか,年代別の集計も実施しており,10代が他の年代よりも意識が低く,対策状況も悪い結果が出ている。「4コマ漫画による啓蒙も必要かもしれない」(三角センター長)。

 なお同調査は,セキュリティに対する認知率や理解度,対策状況などを把握し,対策情報の発信や対策の啓蒙活動に役立てるのが狙い。今回が初めての調査で,来年以降も調査を継続する意向だ。