Wi-Fiアライアンスは2006年4月26日、現在IEEEで標準仕様の策定が進められている高速無線LAN規格である802.11n向けの認証プログラムや、Wi-Fiアライアンス内で検討中の認証プログラムの進捗状況を公表した。

Wi-Fiアライアンス マネージング ディレクタのフランク・ハンズリック氏 Wi-Fiアライアンス マネージング ディレクタのフランク・ハンズリック氏は、直近で開始が予定されている認証プログラムとして、高速無線LANである802.11nおよび機器の簡単設定について検討を進めていることを明らかにした。高速無線LAN規格である802.11nの相互接続性に関する認証プログラムでは、2007年秋と見込まれている標準化作業の完了と同時に認証を発行できる体制を整える。現時点では、相互接続性の要件を定義すると同時に、テスト手法など技術的条件の検討に入った段階。2006年夏には米国で相互接続性の実地検証を行う予定としている。この実地検証では、この時点でのドラフト(素案)仕様に準拠した機器から5~10台程度を選び、実際の相互接続性について検証する。Wi-Fiアライアンスでは「認証プログラムの開始までにこうした実地検証を何度も実施することになるだろう」(ハンズリック氏)としている。

 複雑な操作をせずに無線LAN機器の設定を自動化する技術についても、一定の要件を定めた認証プログラムの実施を検討している。「Simple Config」(開発コード名)がそれだ(関連記事)。「2年前にプロジェクトはスタート」(ハンズリック氏)していたが、Wi-Fiアライアンスとしては初めてSimple Configでの作業について公表、2006年第3四半期に正式に発表することを明らかにした。Simple Configでは、パソコンだけでなく、家電製品や携帯電話との複合端末も含めて、無線LAN機器の接続とセキュリティに関して、どのような項目について自動化を求めるかを検討している。機器に設けられたボタンを押せば自動設定が進められるような実装、あるいは機器ごとのユーティリティソフトから自動設定を開始するといった実装も要件に盛り込まれる見込みである。

WMCタスクグループの伊藤正史氏(NEC モバイルターミナル事業部商品開発部 プロジェクトマネージャー  また、今後対応製品が増加すると見込まれている携帯電話との複合端末の相互接続性については、すでにWMC(Wi-Fi Mobile Convergence)タスクグループを結成して、認証プログラムの策定に向けた検討を開始している。検討作業に携わるNECによれば、「複合端末の無線特性に関する測定方法が確立できた段階」(モバイルターミナル事業部商品開発部 プロジェクトマネージャーの伊藤正史氏)で、今後は異なる携帯電話と無線LANとの間でのハンドオーバーや端末のバッテリー寿命、Bluetoothとの共存などについても検討を進める。同時に、携帯電話の業界団体とも連携し、相互接続性の認証プログラムを普及させる準備を進めていくとしている。