左からレッドフラグのクリス・チャオ社長、ハーンソフトのダニエル・チョウ シニアディレクター、ミラクル・リナックスの佐藤武社長、同じく児玉隆事業戦略室長
左からレッドフラグのクリス・チャオ社長、ハーンソフトのダニエル・チョウ シニアディレクター、ミラクル・リナックスの佐藤武社長、同じく児玉隆事業戦略室長
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 ミラクル・リナックス(東京都港区、佐藤 武社長)、中国のレッドフラグ、韓国のハーンソフトの3社は4月26日、Linux OS「Asianux」を開発する合弁会社「アジアナックス」を5月中に設立すると発表した。現在、設立を申請しており中国・北京が本社になる。レッドフラグのクリス・チャオ社長がアジアナックスの社長に当たる董事長に、ミラクルの佐藤社長とハーンソフトの白鍾振社長が副董次長に就任する予定という。

 「米国のRedHat、欧州のSUSEと並ぶ、アジアのAsianuxを目指す」(佐藤社長)と気勢を上げる。Asianuxは、日中韓の3カ国のベンダーが共同プロジェクトで開発したLinux OSで、日本ではミラクルが「MIRACLE LINUX V4.0 - Asianux Inside」としてOEM(相手先ブランドによる生産)製品を開発、販売している。法人化を機に、IBMなどのグローバルベンダーとの協業やOEM供給を進め、Asianuxをプリインストールしたハード/ソフトを販売してもらう戦略だ。

 これまでは、広くOEM販売されているRedHatなどと違ってベンダーのプライマリーサポートがないために、商談がうまくいかないというケースがあったという。グローバルな協業の推進、開発、技術サポートはアジアナックスが、各国での販売、サポートはミラクルなどの各ベンダーが行う。

 アジアナックスは3社以外の開発・販売パートナーである「協業開発メンバー」や「技術アライアンスメンバー」を今後3年間で10社集める。すでに、インドやパキスタン、南米のベンダー数社から問い合わせが来ている。「販売だけではなく、技術力も備えたパートナーを優先的にメンバーにする」(アジアナックス取締役マーケティング事業開発担当に就任予定であるミラクルの児玉崇事業戦略室長)という。

 Asianuxの売上目標は今後3年間で1億2500万ドル(約144億円)。そのうち、20~25%を日本国内で売り上げるという目標を立てている。ミラクルの児玉室長は、「国内Linux市場におけるシェアを30%に伸ばす」と語る。現在のシェアは約20%という。

 ミラクルなどは各国内での販売パートナーの強化を進めており、国内では4月に資本参加したNTTデータなどが主要なパートナーになる。Asianuxは次バージョンで、セキュリティの国際標準規格である「ISO15408」による認証を取得する予定で、官公庁への攻勢を強めるようだ。官公庁ではLinuxの採用率が高いが、今後のシステム調達ではISO15408認証が事実上必要になる。