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 「アウトソーシングで問題が生じるのは、ベンダー管理の手間がユーザー企業の想定以上にかかり、コストがふくらむことにある」と、米ボーランド・ソフトウエアのシニアコンサルティングサービスマネージャーであるロバート・マーラー氏は指摘する(写真)。「ユーザー企業は、ベンダー管理のポイントを絞るべきだ」。

 米ボーランドは、米ゼネラル・モーターズ(GM)とカーネギーメロン大学ソフトウエア工学研究所と共同で、アウトソーシングのベスト・プラクティス集である「CMMI-A(CMMI Model for Acquisition)」を作成した。アウトソーシングを成功させるために、ユーザー企業が実施すべき最小限の事項をまとめたものだ。

 ソフトウエア開発プロセスのモデル集である「CMMI(Capability Maturity Model Integration)」をベースにしたベスト・プラクティス集である。ユーザー企業はCMMI-Aを利用して、あらかじめベンダーとの役割分担を明確にする。その上で、アウトソーシングした開発・運用業務が適切に進められていることを、どのようなポイントで測定するかを決める。

 CMMI-Aの特徴は、測定指標を絞り込んでいる点である。余計な監視をしたり、有効活用できない成果物を作成したりといった作業はしない。基本になるのは、作業内容やスケジュールの順守度の測定。それに加えて、ユーザー企業はシステム利用部門の満足度だけを、ベンダーは運用品質だけを測定。その結果に応じて改善に取り組む。「すでに2002年から米GMがCMMI-Aを採用し、外注ベンダーの管理に取り組んでいる」(マーラー氏)という。