SAPジャパンは4月25日、同社のCRM(顧客関係管理)ソフト「mySAP CRM」をWeb経由で利用できるようにするサービス「my SAP CRM On-Demand」を開始した。SAPジャパン ストラテジックソリューション営業本部の三村正宗本部長は、「“SaaS”形式で提供することにより、導入期間を短期化できる」と説明する。

 SaaS(Software as a Service)とは、ほかのアプリケーションと連携できるASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)形式のサービスのこと。米セールスフォース・ドットコムが提供するサービス「AppExchange」が代表例だ。

 mySAP CRM ON-Demandは、これまで提供していたインストール版のmySAP CRMと同等のソフトを提供している。利用者教育もほとんど必要なく、利用者が増えた場合でも、自社内でのシステム導入にパラメータ設定の変更なしで切り替えられることが特徴である。

 SAPジャパンが、mySAP CRM On-Demandの第1弾として提供する機能は、「SFA(営業支援)」と「マーケティング」だ。SFAには、顧客や営業活動の管理機能や、商談中の案件を管理する「パイプライン実績管理」といった機能が含まれる。マーケティングで提供する機能はキャンペーン管理やリード管理など。これらの機能は、「mySAP CRMを利用してシステムを構築した場合に利用できる機能を100%とした場合、30%程度に当たる」(ソリューション本部CRMソリューションズの有村大吾郎マネージャー)という。第2弾として7月に、ヘルプデスク業務を支援する機能を、第3弾として10月に製品管理機能を提供する予定。

 mySAP CRM On-Demandのアプリケーションの保守は、独SAPの子会社である「SAP ホスティング」が担当する。SaaS形式で提供されるmySAP CRMを社内のほかのシステムと連携させたい場合や、アドオン(追加開発)を実施したい場合はSAPホスティングに依頼することになる。ハードウエアの運用は、米IBMに委託している。現在「米国とドイツのデータセンタで管理している」(有村マネージャー)という。

 SAPジャパンは年商500億円以上の中堅・大企業での利用を見込む。価格は標準ユーザーの場合、1ユーザー当たり月額8400円。標準ユーザーはmySAP CRM On-Demandの機能のうち、「SFA」や「マーケティング」といった機能単位で利用できる。すべての機能を利用できるエンタープライズユーザーは、同1万4000円。2006年中に10社への販売を見込む。