写真1 決算発表に登壇したソニーコミュニケーションネットワークの吉田憲一郎社長
写真1 決算発表に登壇したソニーコミュニケーションネットワークの吉田憲一郎社長
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写真2 Edy決済が可能な新VODシステム。写真左がEdyのリーダー,右がSTB。
写真2 Edy決済が可能な新VODシステム。写真左がEdyのリーダー,右がSTB。
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 ソニーコミュニケーションネットワーク(SCN)は4月25日,2005年度(2005年4月~2006年3月)の決算を発表した。同時に,10月にも社名を「ソネットエンタテイメント」に変更することを明らかにした。社名変更に関して吉田憲一郎社長は「ネットワークで楽しさを届ける企業として頑張りたい」と語った(写真1)。

 SCNの2005年度決算は,売上高が423億1000万円で対前年度比7.7%増。売り上げ比率で66%を占める接続事業が同3.3%減の277億6500万円,ポータル事業が同37.5%増となった。

 業界全体を見ると,各社のポータル事業は軒並み大幅な伸びを示している。それに対しSCNのポータル事業は伸び幅が小さすぎるという指摘に対して吉田社長は,「今期は不採算事業の整理が中心。2006年度の増益のドライバは間違いなくポータル事業になる」と説明した。また,接続事業は「3年ぶりに増収トレンドになった。3カ月~6カ月の無料キャンペーンを終えるユーザーが増えたことが要因」(吉田社長)だという。

 営業利益は6億4300万円で対前年度比75.5%減,経常利益が8億3200万円で同67.2%減,当期純利益は105億1800万円で同156.1%増となった。当期純利益の大幅な伸びは,SCNの子会社「ソネットエムスリー」などの株式売却によるものだ。

 決算発表終了後には,4月24日に発表した電子マネー「Edy」決済を実現した新VOD(ビデオ・オン・デマンド)システムを紹介した(写真2)。コンテンツをEdyで実際に購入するデモを実施し,「VODでの電子マネー決済は世界初」(SCN)であることをアピールした。デモでは,ソニーの薄型テレビ「BRAVIA」にHDTV映像を映し出した。映像の符号化方式には「H.264」を採用し,6M~8Mビット/秒程度で配信しているという。

 今回発表したシステムはプロトタイプで,商用化時のサービス提供形態などは検討中だ。4月から6月末にかけて,コンテンツ・ホルダーや機器メーカー,通信事業者向けを対象にした実証実験を実施する予定である。

 プロバイダ事業としてVODを提供する場合,ユーザーの属性を把握し,課金までの一切を提供するのが通常の形態だ。今回のシステムはEdyのカードだけで個人を認識し,属性情報の登録などは一切不要。SCNの久松龍一郎・テレビポータル事業部門部門長は,「新VODはプロバイダ事業ではなくポータル事業の一環。どの通信事業者の回線を利用しようと,どのプロバイダと契約していようと関係なく利用できるキャリア・フリーのサービスでないとポータルはうまくいかない」と語った。