写真 通期決算を発表するKDDIの小野寺正社長兼会長
写真 通期決算を発表するKDDIの小野寺正社長兼会長
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 KDDIは4月25日,2005年度の通期連結決算を発表した。売上高は対前年度比4.8%増の3兆608億円,営業利益は同0.1%増の2966億円,経常利益は同2.7%増の2940億円。売上高は初めて3兆円を超え,3期連続の増収増益を達成した。

 例年に引き続き,好調な業績のけん引役は移動通信事業だ。同事業の売上高は対前年度比8.6%増,営業利益は同21.3%増となった。高速データ通信が可能な「CDMA 1X WIN」の契約者数は3月末時点で828万となり,定額契約はそのうち81%に達するという。2006年度は番号ポータビリティ対策の拡販を進める予定。「番号ポータビリティの開始により,どれだけユーザーが動くかは分からないが,市場が流動化することは我々にもチャンス」(KDDIの小野寺正社長兼会長)。2006年度はauユーザーを200万積み増しし,累計2744万ユーザーの獲得を目標とする。

 一方,固定通信事業は売上高が対前年度比3.9%増と増収に転じたものの,営業損益は613億円と赤字幅が拡大した。直収電話の「メタルプラス」は,3月末で約180万回線が開通し,2006年度は累計275万回線の開通を目指す。

 FTTH(fiber to the home)事業は,6月ころから東京電力との統一ブランドのサービスを開始する。「まず関東エリアのFTTH事業で東京電力と成功モデルを作り,その後ほかのエリア展開を考える」(小野寺社長)。KDDIは2007年1月1日をメドに,東京電力のFTTH事業をKDDIに統合する方向で合意している。KDDIが「光プラス」ブランドで展開しているFTTHサービスのユーザー数は3月末で16万5000回線。これを2006年度末には27万5000回線まで増やす計画だ。

 2006年度は,FMC(fixed mobile convergence)への取り組みも加速させる。「auの顧客基盤を生かし,“世帯まるごとKDDI”にしていきたい」(小野寺社長)。固定通信とモバイルの料金バンドル化や,固定とモバイルの融合端末,新サービスの開発などを検討するという。ボーダフォン日本法人を買収し,携帯電話事業に早期参入を果たすソフトバンクの影響については,「相手がどう出てくるかによるが,現状であれば大きな影響は受けない」(小野寺社長)という見通しを示した。