写真:「vPro」のロゴ。右は米インテルのティム・ダン デジタル・エンタープライズ事業本部 副社長,左はインテル日本法人の吉田和正 代表取締役共同社長
写真:「vPro」のロゴ。右は米インテルのティム・ダン デジタル・エンタープライズ事業本部 副社長,左はインテル日本法人の吉田和正 代表取締役共同社長
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 「インテルの新しい技術でパソコンの運用管理コストを削減し,IT部門がより革新的な仕事を手がけるのを支援する」。米インテルのティム・ダン デジタル・エンタープライズ事業本部 副社長はこう訴える。

 インテルは4月25日,企業向けデスクトップ・パソコン技術の新ブランド「vPro(ヴィープロ)」を発表した(インテルのvPro関連サイトはこちら)。vProはプロセサ,チップセット,制御用ソフトなどからなる,パソコンの基盤(プラットフォーム)技術全体に付けた名称。同社はプラットフォームの機能性や処理性能について,このブランド名を通じてユーザーに訴求していく意向だ。vPro準拠のデスクトップ・パソコンには,vProのロゴが付与されることになる。

 1月にインテルはホーム・エンタテインメント向けパソコンに向けたプラットフォーム「Viiv(ヴィーヴ)」を発表している(関連記事)。vProはViivやモバイル・パソコン向けプラットフォーム「Centrino」に並ぶ位置づけだ。vProは以前まで「Averill(アベリル)」という開発コード名で呼ばれていた。

 vProの最大の特徴は,運用管理機能の「AMT(アクティブ・マネジメント・テクノロジ)」である。ハングアップしたOSを復旧する,ウイルスに感染したパソコンを修復する,電源が切れているパソコンをリモートで操作する,といった作業を,ネットワーク経由で実行できるようにする(関連記事)。

 AMTはマルチコア・プロセサの利用を前提としている。マルチコア・プロセサが備える仮想化機能「VT(バーチャライゼーション・テクノロジ)」を使い,片方の仮想マシンでWindowsなどのOSを動かし,もう片方の仮想マシンでAMTなどの管理機能を走らせる。AMTはOSに依存しない機能なので,OSの状態に関わらず処理を実行できる。ダン副社長は「AMTにより,クライアント管理のコストを大幅に削減できる」とメリットを強調する。

 記者発表会の壇上で,インテルは実際にvPro搭載パソコンを使ってAMTの機能を紹介した。ウイルスに感染したパソコンをネットワークから一時的に隔離し,リモートでパッチを適用してから再度ネットワークの利用を許可する,ユーザーが故意に管理用エージェント・ソフトの機能を無効化したことを検知する,といったデモを公開した。

 デモで使ったvPro搭載パソコンは,インテルの次期版デュアルコア・プロセサ「Conroe(開発コード名)」を搭載(関連記事)。Conroeは早ければ6月~7月にも出荷する模様だ。

 ソフト・ベンダーやシステム・インテグレータは,vProのAMT機能を使ったソフトやソリューション・サービスの提供を計画している。例えば日立製作所は今後,同社のシステム運用管理ソフト「JP1」にAMTとの連携機能を追加し,JP1のクライアント管理面を強化する予定。シマンテックもAMTを使ったセキュリティ対策ソフトを計画しているという。

 インテルは今後,モバイル・パソコン向けプラットフォームにもAMT機能の搭載を進めていく。