日立ソフトウェアエンジニアリングは、日本版SOX法への対策を支援する「内部統制再構築ソリューション」を、4月24日から販売すると発表した。今後2年で約10社の顧客を獲得し、30億円の売り上げを見込む。

 日立ソフトは、ニューヨーク証券取引所に上場する日立製作所の連結対象という関係から、2004年2月から自社で米SOX法対策に着手し、この4月には約2年をかけて構築した内部統制システムの本番運用を始めた。今回のソリューションは、この経験を元に、コンサルティングからITの再構築までをワンストップで提供する点が特徴だ。

 ソリューションは、「内部統制整備支援コンサルティングサービス」と「情報システム構築サービス」の2つで構成する。前者のコンサルティングサービスは、内部統制の基本計画からその文書化、統制状況の確認テストといった、構築フェーズの作業を支援するもの。後者のシステムサービスは、構築フェーズで必要なツールの提供に加え、内部統制システムの運用後に発生する、業務プロセスやITシステムの改善を支援するものである。

 内部統制の構築フェーズで最も人手がかかるのは「文書化」の作業。日立ソフトの場合は、文書化だけで延べ1万時間を費やし、約100の業務プロセスと約700のリスクを抽出。これをA3用紙にして1000万枚の文書にまとめたという。2005年度は1年をかけ、その評価と改善活動を行なった。今回のコンサルティングサービスでは、こうした経験で蓄積した作業のノウハウを、顧客に展開できるコンサルタントを20人程度養成し、顧客の支援に当たる。

 また、今年初めに資本提携を結んだビジネスブレイン太田昭和(BBS)とも協業。日立ソフトのノウハウにBBSの会計コンサルティングを組み合わせることで、内部統制が対象とする範囲の決定といった、全体の方針策定から顧客を支援できるようにする。

 コンサルティングサービスで見込む売り上げは、1社当たり3000万~5000万円。一方、内部統制システムの改善で発生するシステム構築サービスの売り上げは1社当たり2億円~3億円と見ている。顧客1社平均の売上高は3億円と大きいが、これは上場大手の顧客をターゲットにしているため。逆に言えば、「コンサルタントの人的限界で、10社の顧客にしか対応できない」(中村輝雄・総合企画本部本部長兼内部統制ビジネス推進本部副本部長)という事情から、大手の顧客に絞らざるを得ない。業種では製造業にフォーカスをする。

 今年度は、夏~秋までに顧客の獲得を済ませ、コンサルティングサービスまでを提供する。このため、システム構築サービスの需要は、来年度以降に発生すると見込んでいる。