富士通は4月24日、企業のリスク管理全般を支援するソリューション体系「安心安全ソリューション」を発表した。事業部あるいはグループ会社がそれぞれ個別に提供してきたウイルス対策や情報漏洩の防止、災害用システムの整備といったリスク管理支援サービスを集約。体系的にまとめた。富士通の石田一雄経営執行役パブリックセキュリティソリューション本部長は、「リスク管理関連のニーズにワンストップで応えていく」と意気込む。

 安心安全ソリューションは、「セキュリティソリューション」と「事業継続(BC)ソリューション」の大きく二つに分かれている。セキュリティソリューションでは、ウイルスや不正アクセス、情報漏洩などを防ぐための対策ツール、あるいは電子文書の保存や電子認証の導入サービスを提供する。ツールや導入サービスだけでなく、セキュリティ・ポリシーの策定やセキュリティ強化のための社員教育などを支援するコンサルティング・サービスも手掛ける。

 BCソリューションでは、災害対策用システムの導入支援や運用・保守の請負サービス、災害時の緊急情報収集サービスなどを提供する。加えて、セキュリティソリューションと同様に、事業継続や災害対策のためのコンサルティング・サービスを強化していく。

 石田経営執行役は、「企業がリスク管理体制を強化するには、ツールやサービスを導入するだけでは不十分。どんなリスクにどのように対応していくのかといったプロセスを一つひとつ整備していかなければならない」と強調。コンサルティング・サービスを通じて、こうしたプロセス作りに注力していく。

 富士通によれば、セキュリティあるいは事業継続関連サービス市場の金額規模は2005年度で5770億円。このうち、富士通のシェアは「9%程度にとどまっている」(石田経営執行役)。安全安心ソリューションの提供で、これを2008年度にも「15%まで引き上げたい」(同)としている。富士通は2008年度の同市場規模が8670億円まで拡大すると試算。シェアの増加と市場の拡大により、2008年度までの3年間で2900億円の売り上げを見込む。

 富士通は今後、安全安心ソリューションに基づくリスク管理関連の新サービスを順次発表していく。その第一弾として、4月24日に二つの新サービスを投入した。ネットワークの脆弱性をチェックしたり、緊急時の対応を支援する「インターネットセキュリティ統合サービス」と、事業継続計画の立案を支援する「BCコンサルティング」がそれ。インターネットセキュリティ統合サービスは初期費用150万円からで、運用費は月額38万円から。BCコンサルティングは300万円から。