三井物産常務執行役員の小川真二郎情報産業本部長
三井物産常務執行役員の小川真二郎情報産業本部長
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 三井物産は、米国のベンチャー企業A10ネットワークスと国内総代理店契約を締結し、アイデンティティ(ID)管理アプライアンス製品「IDSentrie 1000」の国内販売を開始する。実は昨秋にA10ネットワークスに出資しており、98年に米ファウンドリー・ネットワークスに出資して日本向け製品を持ち込んだのと同じビジネス・モデルを採った。

 販売とサポートを手掛ける物産ネットワークスの木内一貴代表取締役社長は、「メーカーに近い立場に立って、日本企業のニーズにあった製品を投入できる」と、出資することのメリットを語る。日本向けの機能を備えることで、「企業の内部統制ニーズに応じていく足がかりにしたい」(三井物産常務執行役員の小川真二郎情報産業本部長、写真1)考えだ。

 IDSentrie 1000は、企業内に複数存在する認証サーバーやデータベースを一元化し、一つのID、パスワードですべてのシステムを利用できるようにするアプライアンス製品。特徴は、“仮想的な”ディレクトリ・サーバーとして動作する点だ。ユーザーが認証のためにIDとパスワードを入力すると、アプリケーションはIDSentrieにそれを送り、正しいユーザーなのか、どのような属性なのかを問い合わせる。IDSentrieは、既存の認証サーバーにそれを確認し、その結果をアプリケーションに返信する仕組みである。

 既存の認証システムには手を入れず、アプリケーションの問い合わせ先をIDSentrieに変更するだけで導入できる。IDSentrie自身にはIDやパスワードを保存せず、認証の都度問い合わせる。ユーザーを追加・削除する際は、認証サーバーの情報を変更すればよく、運用の業務プロセスを変える必要はない。

 また、各認証サーバー内に登録している複数のIDやパスワードを一元管理する機能も備える。エンドユーザーがWebブラウザを使ってIDSentrieにアクセスすると、IDSentrieと連携する各認証サーバーのIDやパスワードを変更し、各認証サーバーに反映できる。

 IDSentrieのもう一つの特徴は、ログ記録機能だ。複数の認証サーバーにまたがる、社内システムのユーザー認証ログを、一元的に記録できる。ログは、140種類用意してあるテンプレートを使って、レポートにまとめる。

 IDSentrie 1000の価格はオープン(参考価格は367万5000円)。三井物産はA10ネットワークス製品について、3年間で30億円の売り上げを見込む。