ILOG JViews Charts 7.5に追加したマーケット分析用のツリー・マップ
ILOG JViews Charts 7.5に追加したマーケット分析用のツリー・マップ
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仏ILOGで視覚化製品のシニア製品マネージャを務めるJerome Joubert氏
仏ILOGで視覚化製品のシニア製品マネージャを務めるJerome Joubert氏
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 仏ILOGは,GUI画面をウィザード形式でソース・コードを書かずに開発するためのJava開発環境の新版「ILOG JViews 7.5」を2006年5月にフランスと北米で出荷する。新版ではAjax(Asynchronous JavaScript and XML)機能を使ったWebアプリケーション画面を簡単に作成できるようにした。国内での出荷時期は未定。

 JViewsは,JavaのGUIソフトウエア部品であると同時に,JavaのGUI画面をウィザード形式で作成するための開発ツールである。開発時はEclipseのプラグインとして動作する。製品ラインアップは以下の5種類。(1)「Charts」は株価などチャート形式を表示,(2)「Gantt」は主に製造業で需要がある進ちょく管理用のガント・チャートを表示,(3)「Diagrammer」はダイアグラムを表示,(4)「Maps」は地図と地図情報を表示する。(5)「JTGO」は主に通信業界に向けた製品で,地図情報とアイコンを組み合わせたネットワーク管理ソフトを開発できる。

 2006年5月に発表する新版では,GUIの表現力を向上させるとともに,Webアプリケーションの開発方法として注目されているAJAX機能を簡単に利用できるようにした。GUI表現の向上は,例えばJViews Chartsでは,マーケット分析用に,表形式のデータをセグメント分けしてツリー(木)構造に展開し,ドリルダウンして粒度を変えて参照する画面を実現できるようになった。

 Ajaxとは一般に,Webブラウザ上でJavaなどのクライアント・アプリケーションを動作させることなく,ユーザーの操作を先読みして画像データを送るといった手段で,対話型の画面を実現する方法を指す。JViewsは本来,JavaアプリケーションやJavaアプレットといったリッチ・クライアント画面を実装するための開発ツールだが,新版ではWebアプリケーション・サーバー側で画面の画像イメージ・データを生成してWebブラウザに送りつけるといった機構を,特別なコーディングをすることなく開発できるようにした。

 例えば,ダイアグラムを扱うDiagrammerとJTGOでは,ポップアップ・メニューの表示や選択した管理ノードに付加された情報などをあらかじめ読み込んでおくほか,画面を読みなおすことなくノードを切り替えられる。チャートを扱うChartでは,クライアント側にXMLベースの画像描画言語であるSVGを実装する手法を採用した。これにより,クライアント画面上で対話型の画面描画が可能になる。クライアントは必要に応じてサーバーからXMLデータをダウンロードする。

 クライアント画面の実装方法の動向について,JViewsなど視覚化製品のシニア製品マネージャを務める仏ILOGのJerome Joubert氏は,「6割がスタンドアロンで動作するJavaアプリケーションだが,残りの4割はWebブラウザ。Webブラウザを使うケースは増えている」と分析する。同社はJavaに加えて.NET版を市場に試験投入しているが,「.NET開発者はWindows Vistaでどう環境が変わるかを探っている状態。.NET版の出荷の伸びは想像していたよりも鈍い」という。「エンタープライズから流れているJava開発者とVisualBasicから流れている.NET開発者はコミュニティが異なる。いずれは.NET版の製品もラインナップする」(Jerome Joubert氏)。