「Web2.0」が話題になったためか、EC(電子商取引)サイトやポータルサイトが、自社のサービスを簡単に外部から利用できるように、API(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)を公開する動きが活発になっている。「WebサービスのAPI公開」の意味するところが一般的になってきたという印象を持っている。

 もっとも、Webサービス自体は何年も前からあったもので、今ぱっと出てきたものではない。実際、米アマゾン・ドットコムはWebサービスを外部から利用できるように数年前からAPIを公開していた。とはいえ、API公開についてメディアに取り上げられることは少なく、よほど興味のある人でない限り活用方法は分からなかった。しかし、最近は、「こんな風に使えるんだ」と分かってきたため、「やってみようかな」と思う人が増えている。Webサービスを利用する敷居が下がってきたと感じる。

 当社は、健康食品に関するECビジネスを手がけている。5月か6月には、当社のECサイトでAPIを試験的に公開する予定だ。このAPIを使って、当社で扱う健康商品情報を入手できるようにするとともに、ショッピング・カート機能を提供する。外部の企業や個人利用者は、当社の商品情報を自分のサイトで紹介でき、ショッピング・カート(買いものカゴ)機能を簡単に持てる。決済や物流については当社が担当する。カートにおける購入ステップが代金支払いに進むと、処理が当社のサイトに移り、当社が代金を決済して購入商品を配送する仕組みだ。

 APIを公開する目的は、外部の企業や個人利用者に、どんどんWebを作ってもらい、結果として弊社の売り上げを伸ばすことにある。他社に先んじてAPIを公開するのは、いいサイトを作る力を持った開発者に使ってもらいたいから。使いやすいサイト作りに外部の力を活用する一方、当社は決済や物流などプラットフォーム事業をさらに充実させていく。

 APIを公開することにより、当社のECサイトの位置付けは大きく変わってくる。いずれは、ケンコーコム本体のECサイトの売り上げと、Web API経由の売り上げが半々になっても不思議ではない。