SIPの相互接続検証イベント「SIPit18」の会場の様子
SIPの相互接続検証イベント「SIPit18」の会場の様子
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 4月17日から東京・秋葉原でSIP(session initiation protocol)の相互接続検証イベントである「SIPit18」が,21日までの予定で開催されている(写真)。SIPitはメーカーの技術者などが開発中の機器を持ち寄って,SIPの実装上の課題解決や品質向上を目指すもの。これまで年2回のペースで,各国で開催されている。18回目の今回,日本での初開催となった。SIPitでの接続試験の結果や参加企業などは原則非公開。

 19日,SIPitを主催するSIP ForumのBorard of Directorであるロバート・スパークス氏や,SIPit18を共催するVoIP/SIP相互接続タスクフォースの主査である江碕浩・東京大学大学院教授らが出席したプレス向け説明会が開催された。説明会の場で,現在の参加者は160名を超え,米国や欧州各国に加え,台湾,韓国,中国などのアジア各国から集まったことや,参加組織は約70に上ることなどが公表された。また,今回はIP-PBX(構内交換機)などを持ち込んだ接続検証試験も実施されているという。

 SIPは次世代ネットワーク(NGN)でも採用されるが,NGNとSIPitの関係についてスパークス氏は,「SIPitはIETFの仕様をきちんと実装しているかどうかを検証する場。NGNあるいはIMS(IP multimedia subsystem)はSIPを使うが,多くはその上にアプリケーションが乗る。その部分に関してはSIPitの対象外」と説明。また,江碕教授は現在の一般的状況として「日本では,NGNのSIPとインターネットのSIPをどう相互接続するかを議論している真っ最中。これからいろいろな調整が行われていく」と付け加えた。

 接続テストは参加者が相手を決めて1対1で相互接続試験をする「Independent Testing」と,主催者がテーマを決めて参加者を募る「Multiparty Test Schedule」(マルチパーティ・テスト)の二つがある。19日午後のマルチパーティ・テストは,ENUM(注1)やSIMPLE(注2)がテーマとなっていた。

 なお,会場内の参加者が連絡用に使うSIP対応のIP電話システム(相互接続試験とは別のネットワーク)はシスコシステムズが提供。ネットマークスが構築に協力した。

注1:インターネットを通じて電話番号とその関連情報を交換する技術。端末間はピア・ツー・ピアで接続

注2:session initiation protocol for instant message and personal leveraging。SIPをインスタント・メッセージやプレゼンスに使うためのプロトコル