1人ひとりの作業時間を70分で統一している産業機器「CNCタッピングセンター」の生産工程
1人ひとりの作業時間を70分で統一している産業機器「CNCタッピングセンター」の生産工程
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 ブラザー工業が進めている国内工場の生産革新が成果を挙げている。産業機器を製造する名古屋市の瑞穂工場では、2006年度末(2007年3月末)までに、組み立て工程のリードタイムを、生産革新を始めた2000年度に比べて半減させる。

 瑞穂工場で生産する産業機器「CNCタッピングセンター」は、ハードディスクやデジタル家電のメーカーに納入する電子部品の加工機械。タッピングセンターの生産工程では、工程を16分割したうえで、各工程に1人ずつ作業員を割り当てる生産方式を採用している。

 16工程がそれぞれの仕事を70分でこなし、すべての工程が70分単位で前後と同期を取りながら、組み立て途中の製品を次の工程に回すことになっている。こうすればラインを滞りなく製品が流れ、途中に仕掛かり在庫がたまらなくなる。

 2000年度には、各工程の作業時間が120分だった。それが、組み立て途中の製品の移動回数を減らしたり、組み立てしやすい設計への仕様変更といった改善を続けた結果、2004年度には70分まで縮まった。

 2006年度は、作業時間を2000年度の半分である60分にするのが目標だ。現在、現場では、個人ごとに60~70分の間で作業時間を設定し、1年後には60分にできるよう、さらなる改善を続けている。

 ブラザーの産業機器分野の売上高は急速に伸びている。2001年度に117億円だった売上高は、2004年度には225億円まで拡大した。この伸びを牽引したのが、生産効率の向上に伴う受注増への対応だった。
 
 ブラザーグループの海外生産比率は80%を超えており、主力のデジタル複合機や工業用ミシンは中国で生産している。残された国内工場は改善活動による生産性の向上に活路を見いだす。