トヨタ生産方式の導入を主導するヨコオの茂木徳栄副社長
トヨタ生産方式の導入を主導するヨコオの茂木徳栄副社長
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 車載アンテナなど車載通信機器を製造するヨコオは、2007年春までに取引先メーカー150社を対象に「かんばん方式」を取り入れた生産管理体制を導入する。

 ヨコオは2004年11月からトヨタ生産方式の導入を順次進めてきた。まず、群馬県富岡市の富岡工場で、トヨタ流改善の基本である2S(整理・整とん)に着手。その後、同工場の一部の工程間でかんばん方式を取り入れ、2005年5月からは部品倉庫と組み立てライン間にも拡大した。

 さらに部品倉庫と取引先メーカー間にもかんばんを導入、今年4月末までにはその対象取引先は32社になる見込み。そして、2007年春には150社にまで対象を広げる計画だ。

 富岡工場ではトヨタ生産方式を導入の成果が既に表れている。例えばマイクロアンテナの製造工程では、1人で完結するセル生産を止めて、複数の担当者が製造工程を分担する「流れ生産方式」に切り替えた。従来は、ラインの担当者が部品倉庫まで部材を取りに行っていたが、専任の運搬担当者を配することでラインの作業者が組み立てに集中できるようにした。この結果、アンテナ1つを組み立てる時間が25%短縮したという。

 ヨコオは、トヨタ生産方式の導入は人材育成にも役立つとみている。茂木徳栄副社長は、「これまでも様々な業務改善に取り組んできたが、担当者が変わってしまうと改善前の姿に戻ってしまった。トヨタ生産方式を導入することで改善の風土を根づかせたい」と語る。

 トヨタ生産方式を指導するのはトヨタ自動車とリクルートが共同出資したOJTソリューションズ(名古屋市)。週に3回のペースで指導員が富岡工場で指導している。

 ヨコオは指導を受けるメンバーを半年ごとに交代させる。改善を手がける人材を増やすことが狙いだ。例えばこの5月からは、国内の事業所からの4人と、マレーシアと中国の工場からの6人の合計10人が参加する。

 さらに、6月からは研修を終えた社員をマレーシアと中国へ派遣する。同社の生産量のうち、7割が海外工場で生産しているため、改善に対する期待は大きい。