米MicrosoftのeHome担当コーポレート・バイス・プレジデントであるJoe Belfiore氏
米MicrosoftのeHome担当コーポレート・バイス・プレジデントであるJoe Belfiore氏
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 米Microsoftでデジタル・エンターテインメント分野を統括するコーポレート・バイス・プレジデントであるJoe Belfiore氏(写真)は4月12日,東京都内で開催された記者会見で同分野の現況や今後の事業戦略を明らかにした。Belfiore氏によれば,Media Centerパソコンの月間出荷台数は全世界で100万台を超えており,米国の店頭で販売されるデスクトップ・パソコンの5割強がMedia Centerパソコンだと強調した。

 Media Centerパソコンとは,OSに「Windows XP Media Center Edition」を搭載したパソコンのことである。Microsoftのデジタル・エンターテインメント戦略「eHome」は,このMedia Centerパソコンを核としている。音楽や映画,デジカメ写真といったデジタル・コンテンツをMedia Centerパソコンに蓄積し,これらをパソコンにつないだディスプレイやテレビで楽しむのに加えて,ゲーム機「Xbox 360」や,動画再生に対応した東芝の「gigabeat Sシリーズ」といった周辺機器でも利用できるようにしていることが特徴。

 例えばXbox 360は,Media CenterパソコンとLAN経由で接続でき,Xbox 360からWindows XPの「リモート・デスクトップ機能」を使ってMedia Centerパソコンを操作して,デジタル・コンテンツをXbox 360とつないだHD(高解像度)テレビ上で再生することができる。

 Belfiore氏はMedia Centerパソコンについて,(1)分かりやすいユーザー・インタフェースを備えていること,(2)サード・パーティのアプリケーションやサービスが利用しやすいこと,(3)Xbox 360のようなテレビと接続したデバイスと連携できること−−−を利点に挙げた。

 (1)に関しては,OSの機能変更などが行われていないため,特に進捗状況の説明はなかった。(2)のサード・パーティのサービスでは,日本でも順調に数が増えていることが報告された。これまで,Media Centerパソコンで利用できる「メディア・オンライン・サービス」(専用インタフェースから簡単に利用できるオンライン・コンテンツ)は6社しか提供していなかったが,4月12日の発表で新たに7社増えることが発表された。メディア・オンライン・サービスの画面上の「枠」は16社分あるので「年内にすべての枠が埋まるメドが立った」(マイクロソフト日本法人)としている。

 (3)のXboxとの連携機能は,従来の日本市場で完全に欠けていたものである。米国では初代XboxでもMedia Center Extender機能が利用できたが,英語版以外の初代Xboxには同機能がなかったのである。それがXbox 360では,日本語版でもMedia Center Extender機能が使えるようになった。記者会見場でも,Xbox 360を使ってMedia Centerパソコン上の高解像度動画データを再生するデモが行われた。

 日本市場では,「テレビ・パソコン」の展開はパソコン・メーカー中心に行われていたが,最近ではWindows XP Media Center Editionの搭載例も増えている。2006年春夏モデルで見ると,アロシステム,MCJ,KOUJIRO,ソーテック,デル,NEC,日立製作所,富士通の8社がWindows XP Media Center Editionを採用している。

 ただ,Windows XP Media Center Editionは,技術ベースがWindows XP Professionalなのに,サポートに関してはコンシューマ製品扱い。このため,Windows Vistaの発売から2年間でサポートが終了することが告知されていることが問題視されている。「家電製品としてサポート期間が短すぎるのではないか」という質問に対して,マイクロソフトのWindows本部長であるJay Jamison氏は,「Vistaの発売から2年間というサポート・ポリシーが様々な面でバランスが取れていると判断している。ただし,ユーザーからの声は十分聞く考えだ」と述べるに留まった。