日立GSTのシニアバイスプレジデント、ビル・ヒーリー氏
日立GSTのシニアバイスプレジデント、ビル・ヒーリー氏
[画像のクリックで拡大表示]
円盤1枚の記録容量を約160GBまで高めた、3.5インチHDDの新製品「Deskstar T7K500」
円盤1枚の記録容量を約160GBまで高めた、3.5インチHDDの新製品「Deskstar T7K500」
[画像のクリックで拡大表示]
Deskstarから派生して誕生した、デジタルビデオ向けの新ブランド「CinemaStarシリーズ」
Deskstarから派生して誕生した、デジタルビデオ向けの新ブランド「CinemaStarシリーズ」
[画像のクリックで拡大表示]

 日立グローバルストレージテクノロジーズ(日立GST)は2006年4月12日、デジタルビデオ関連の新ブランドも含めた、3.5インチハードディスク(HDD)の新製品4モデルを発表した。

 日立GSTは今後の戦略として、HDDレコーダーやHDDビデオカメラなど、HDDを記録媒体とするデジタルビデオ関連機器を成長領域と捉え、3.5インチHDDの事業拡大を進めるという。同社のシニアバイスプレジデント、ビル・ヒーリー氏は「情報家電市場では特に3.5インチHDDの需要増が見込まれる。2008年末までには、現在9%(業界5位)という3.5インチHDDのシェアを2倍の18%まで伸ばす」と述べた。

 3.5インチ市場の拡大のために、まず3.5インチHDDの主力ブランド「Deskstarシリーズ」の新製品として「Deskstar T7K500」と、記録容量などが異なる「Deskstar 7K160」を発表した。Deskstar T7K500は、従来製品「Deskstar 7K500」が1枚100GBの円盤を5枚合わせて500GBの記録容量を実現していたのに対し、記録密度の向上により1枚約160GBの円盤3枚で500GBの容量を実現した。

 さらに、デジタルビデオ録画機器向けに特化した新ブランド「CinemaStarシリーズ」を発表した。製品は「CinemaStar 7K500」と、記録容量が異なる「CinemaStar 7K160」の2モデル。CinemaStarシリーズは、Deskstarシリーズと基本設計は同じだが、より騒音が少ない設計になっており、リビングで使用するHDDレコーダーなどの用途に向く。ほかにも、負荷が低い作業時は円盤の回転速度を毎分7200回転から、毎分4200回転に落とすといった低消費電力技術や、映像データを途切れなく再生するための新機能を搭載している。

 現在、日立GSTは主にノートパソコンが採用している2.5インチHDDのほか、携帯音楽プレーヤー向けの1.8インチHDDや1インチHDDで、いずれも業界1位、2位のシェアを誇る。これらに比べて他社に遅れを取っている3.5インチHDDに、新ブランドを含む新製品を投入することにより、3.5インチHDD市場においても業界をリードする位置を占めることが狙いだ。

 同社の取締役、鈴木良氏は「CinemaStarのようにDeskstarから派生して誕生した3.5インチHDDの新ブランドを、近いうちに低価格サーバー向けに特化した製品でも立ち上げる予定だ」と語った。

 HDDの記録容量を向上させる技術として注目されている「垂直磁気記録方式」を採用した製品については、「2006年第3四半期(7~9月)に、2.5インチHDDの主力製品で垂直磁気記録方式を一気に採用していく」(鈴木氏)と述べた。また2007年ごろには、垂直磁気記録の採用により、記録容量が20GBの1インチHDDや、1TB(テラバイト=ギガバイトの1000倍)の3.5インチHDDが実現できるという。