日立グローバルストレージテクノロジーズ日本法人の田宮敏彦社長
日立グローバルストレージテクノロジーズ日本法人の田宮敏彦社長
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 ハードディスク(HDD)開発・販売の日立グローバルストレージテクノロジーズ(日立GST)は、HDDの記録密度を向上させた垂直磁気技術を今年7~9月にかけて製品化する。4月12日に開催した、事業の現状と今後について説明した記者会見で明らかにした。

 垂直磁気技術を搭載した製品としては既に、米シーゲイト・テクノロジーが今年1月に出荷済み。160Gバイトの2.5インチ型HDD製品に搭載した。日立GSTは2005年中の製品化を予定していたが実現できず後れをとった格好だが、「製品の量産を実現するため、時間をかけている。2.5型のHDDから一気に立ち上げる」(鈴木良取締役)と巻き返しを図る考え。コスト的には「材料費は(従来技術のHDDより)高いが歩留まりが向上している。全体としてはほぼ同じになる」(同)。

 現在、同社の2.5型製品は120Gバイトで提供しており、垂直磁気技術によって大容量化を図る。シーゲートと同様に160Gバイトの容量で提供するものと見られる。このほか、現在記録容量が8Gバイトの1.0型のHDD製品は2007年に20Gバイト、同500Gバイトの3.5型は同1T(テラ)バイトになるという見通しも示した。

 なお、会見の冒頭で日立GST日本法人の田宮敏彦社長は、「おかげさまで、2005年第4四半期(9~12月)はワールド・ワイドで黒字を確保できた」と安どの表情を見せた(写真)。「製造台数が増えれば1台当たりの開発費を抑えることができる」(田宮社長)、「製造方法を2005年末から改善しており、歩留まりがよくなったという要因が大きい」(鈴木取締役)という。

 2005年1~12月の通期はワールド・ワイドで売上高4965億円、270億円の赤字となった。日立GSTは日立グループのグローバル戦略の一環として、米IBMから事業の譲渡を受けて2003年1月に設立した。それ以来通年では赤字が続いている。