東海旅客鉄道(JR東海)は、東海道新幹線で発生していた列車の緊急停止が新しく列車に搭載したコンピュータの仕様によるものと明らかにした。4月11日、報道各社に説明した。

 JR東海は3月18日のダイヤ改正を契機に、東海道新幹線の全列車に新しい列車自動制御装置(ATC)を導入した。新ATCは各列車が先行列車の位置を取得し、各列車に搭載したコンピュータが自律的にブレーキを操作するシステム。従来はセンター側で集中制御していたが、「新ATCで各列車が最適な減速パターンを選択し、なめらかなブレーキ操作が可能となる」(JR東海広報)。

 ところが、新幹線に搭載した新ATCの仕様に不十分な所があり、処理が異常と判断した新ATCのコンピュータが列車の緊急停止措置を取ったケースが3月18日以来19件発生している。ATCをリセットすることで運行を再開できるが、最大で10分程度の遅れが発生したという。

 トラブルは大きく二つの要因で発生している。一つめが各新幹線に搭載したATC用コンピュータのメモリ不足。先行している新幹線の速度が相対的に速いと、自列車のATCの取得する相手位置の情報が増える。この情報を格納しておく領域が不足した結果、コンピュータが異常と判断したという。これが19件のうち12件を占める。もう一つがATC用コンピュータの処理能力の問題。0.1秒以内に、先行列車と自列車の位置情報を同時に受け取ると、コンピュータが処理しきれずに異常と判断するという。線路上のトランスポンダと呼ばれる装置から位置を取得している。このケースが3件あった。

 JR東海は「詳しい内容はお答えできないが、コンピュータのプログラムを改善することで4月12日から対処を始めた。5月末にはすべての列車への対策を終える」(広報)している。